「紳士の運命」のストーリー

ジャックは養父から突然実の父があることを聞かされた。その実父は目下重体で一刻も争う時であるからとの事で事情をただす暇もなくジャーシー市に駆けつけた。父のマリオというのは怪しげなホテルのベットに寝ていた。ジャックは目に映するもの、身ににするものすべてが想像外のことで面食らった。自分の兄だという鼻の曲がったフランクという男、今までの自分の生活とはあまりにも異なる周囲。実は彼らは無頼漢だった。しかし彼の父マリオはさすがにジャックだけでも正道に尽かせようと彼の幼い時友人に養育方を託したのであった。親子は20年振りの対面だった。父の喜びは非常なもので愛人へと立派な首飾りを彼に与えた。彼はこれをマージョリーに与え、急用で1週間程会えぬが万一の際はと電話番号を教えた。ジャックは病父の側に連日付き添っていたがある日突然マージョリーから電話で、彼が彼女に与えた首飾りは盗品で被害者はしかも彼女の隣人であるとのことに彼はあぜんとして答えるすべもなかったが、フランクが彼女に至急来訪せよと変わって答えた。意外の場所にジャックを発見したマージョリーの驚き、そして彼女は首飾りの出所を詰問したが、兄の威嚇をうけ且つは父の名を汚すに忍びず自分が盗んだと答えた。彼女はあまりのことに彼とは口も交えずに飛び出してしまった。ジャックは悔やしさのあまりフランクを殴ろうとしたがかえって彼の一撃を食らって倒れた。彼は父の罪を負って投獄されたがフランクの努力でまもなく放免された。彼はフランクを憎んで飛びかかったがもちろん彼の敵ではない。彼は兄に対する反感を持ちながら遂には彼の性格にある種の尊敬をいだかざるを得なかった。フランクもまた彼の純真さに感心した。社交界からは遠ざけられマージョリーは心の痛手をいやすべく渡欧してしまった今日ジャックが兄のギャングに加わったのも当然であろう。ある夜ジャックはフロリオの一味と衝突し、彼の義兄弟のダンテを射殺した。フロリオはダンテの情婦ルスをしてジャック一味の動静を探らしめんとしたがフランクは早くもこれを看破し、祝宴と称してフロリオを招待すると共にジャックをしてルスを伴わしめた。たちまちフロリオとジャックの間に争いが起こりあわや修羅場と化せんとしたが警官の乱入で平穏にすんだ。その夜ジャックはフランクかマージョリーの結婚したことを聞かされ今さら彼女の幻想を追うも詮方ないことと彼はルスと結婚した。一方フロリオはあくまで遺恨に思いまずルスを殺害せんとしたがこれはジャックの知るところとなり、彼女のもとにかけつけフロリオを射殺したが、彼もまた深手をうけてルスに抱かれつつ死んで行った。