「姉妹と水兵」のストーリー

パッチイと妹のジーンはニューヨークのナイトクラブで『デヨ姉妹』として出演し美しい歌手として大人気だった。このクラブ・フロリヤノにはハリー・ジェームズとその楽団、ザヴィエー・クガートとその楽団、カーロス・ラミレスも出演していた。パッチイは妹より一つしか年上ではなかったが、妹が金持ちと結婚する野心を持っているので、とんでもない男にだまされないように、母のように心配している。折しも『ある男』としるした名刺をつけて夜毎蘭の花がジーンのもとに届けられる。姉妹は、クラブがはねると毎晩、道で出会った兵隊をアパートへつれていって慰問会を催すのが常だった。ある夜の客の中にテキサスの農夫のフランク・ミラーという軍曹と、ジョン・ブラウンと名乗る水兵がいた。ジョンはジョン・ディックマン・ブラウン3世という大金持で例の『ある男』でもあったが、姉妹は全然気付かなかった。ジョンがジーンに参っていることはもちろんだが、フランクもジーンに恋していた。パッチイはジョンに一目ぼれしたがジョンは妹に夢中なので、彼女は燃ゆる思いを秘めていなければならなかった。アパートの近くの倉庫を兵隊クラブにしたら、とジーンがジョンに語った翌日ニズビーという家屋周旋人が来て、姉妹にその倉庫を使ってよいと言った。さっそく姉妹が訪ねて行くと、そこには劇場の道具が積まれて、おちぶれ芸人ビリー・キップが住んでいた。姉妹はビリーの助けでクラブにしようと決心すると、多勢の作業員がやって来て倉庫を片付け立派なクラブが出来上がった。そればかりか数百人前もの酒や食物が『ある男』から届けられ、ハリー・ジェームスの楽団、ザヴィエー・クガートの楽団、ホセ・イタービとその他の有名芸能家が出演し毎夜クラブは大繁盛であった。ある日ビリーがニズビーの電話を聞いて『ある男』とは大金持のジョン・ディックマン・ブラウンであることを知り、パッチイに話した。怪しんだパッチイはブラウン邸へ抗議に行く。ところがブラウン1世も、ブラウン2世もそんなことは知らぬと言う。その時水兵ジョンの姿を見てパッチイはやっと『ある男』の正体を知った。パッチイは妹にこの事を話し、自ら身を引こうと決心するが、ジーンは本当はフランクの方が好きだったので彼と婚約した。そうしてジョンも自分が本当に愛するのはパッチイであることを悟るのだった。