「うまれる」のストーリー

結婚して約1年になる伴真和・まどか夫婦。まどかは妊娠6カ月で、初めてのお産を楽しみにしているが、不安も感じている。特に、自分が良い親になれるのか心配している。彼女は幼いころ、母親に虐待された経験があり、中学生の時に離婚した母親とは絶縁状態である。なぜ母親に受け入れられなかったのかという答えを求めるように助産師の道を進んだが、まだ母親との関係は消化できていない。一方、真和は両親の不仲を見て育ったので、まどかと出会うまでは、結婚したいとも子供が欲しいとも思っていなかった。そのため、父親になると言う実感が持てないでいる。松本哲・直子夫婦の子供・虎大は、18トリソミーという染色体異常による重い障害を持って産まれてきた。妊娠8カ月で18トリソミーの可能性を知った松本夫婦は、迷わず産むことを選んだ。数カ月の入院後、奇跡的に病院を退院し家族との生活が始まったが、自分で食事も摂ることもできず、チューブで胃に直接栄養分を送っている。松本夫婦は、どのように我が子の命と向き合おうとしているのか。関根雅・麻紀夫婦は、出産予定日にお腹の中で子供を亡くした。椿と名付けた娘を見送った2人は、悲しみのなかで自分たちを責め続けた。しかし、『わたしがあなたを選びました』という本の著書である産婦人科医・鮫島浩二との出会いにより、夫婦は救われた。47歳の東陽子は不妊治療の病院ミオ・ファティリティ・クリニックの管理部長をしている。自身も30代のときに9年間治療を受けたが、子供のいない人生を受け入れた。最初のころはワクワクしていたと語る陽子だったが、やがて焦燥感から不安定になっていった。そんな彼女を、夫の徹は包みこもうとした。堕胎のためにクリニックを訪れる女性もおり、陽子を複雑な気持ちにさせる。