「死に行く我が子」のストーリー

幼馴染みのジュリアンとエディスはニューヨークのある料理店で再会し旧交を温めたのが縁となって2人は結婚した。以来五年間彼らは苦しい生活を続けた。ジュリアンは絵画の基礎的知識がなかったのでその立派な構想を画布の上に移す術なく空しく雑誌絵などを描いて妻と娘とを養わねばならなかった。彼は斯くては成らじと妻の同意を得てパリに赴きすべてを忘れて絵画の道に精進した。エディスは生活のために衣装店に勤め、そこで知合いになったグリーナウ夫人に慰められた。夫人の息子はエディスのしとやかさに想いを寄せたが彼はそのことを口外しなかった。ジュリアンは絵画のテクニックは十分に習得したがこの度は実感を得ることが出来ずに苦しんだ。パリで友達となった同業のオスカーとピアニストのオルガとはジュリアンの気を引き立たせようと努力したが無効なのでジュリアンを伴ってニューヨークに来た。エディスは夫の帰郷を喜び迎えたが夫の憂鬱は去らなかった。ジュリアンは彼の絵を引き受ける人が出来たので立派な家に転居したが彼の妻子に対する冷淡は益々著しくエディスはグリーナウに抱擁されている様を夫に見せようとさえしたがジュリアンはただ眼を塞ぐのみだった。エディスは遂に娘を連れて夫の許を去った。ジュリアンは初めて妻と子との己に必要なことを悟った。娘が重病に罹ったと聞いて堪えられず彼はエディスの許に赴いた。娘は彼の腕に抱かれて死んだが彼と妻とは正しい愛と理解とを得て新生の途についた。