「アパッチ(1954)」のストーリー

アパッチ族は酋長ジェロニモ以下が合衆国に降伏して捕らえられたが、その中の1人マサイ(バート・ランカスター)は列車護送中に脱走し、故郷の西部アパッチへ帰りついた。しかし、彼のいない間に故郷はすっかり変貌し、マサイの恋人ナリンリ(ジーン・ピータース)の父サントス(ポール・ギルフォイル)が、名前だけの酋長にまつりあげられていた。マサイはアパッチ族が自立するには青年たちの意欲を農業に向かわせなければならないと主張したが、サントスに裏切られて再び敵に捕らえられる。だが、マサイはまたもや護送中に脱走、ただ1人山中に隠れて、合衆国と裏切者に対する復讐に燃え立った。そしてある日、ナリンリを誘拐して隠れ家の廃鉱へ連れてきた。最初は2人とも互いに打ちとけなかったが、次第に愛情を抱き合うようになり、冬が来る頃には結婚して小さな小屋を営んだ。春が訪れた頃、ナリンリは身篭っていた。あるとき彼女が村へ下って食糧を盗んできたことから足がつき、2人の小屋は合衆国軍に包囲された。マサイは1人敢然と敵に立ち向かったが衆寡敵せず重傷を負う。マサイが最後の力をふりしぼって敵に向かおうとしたとき、突如赤ん坊の産声が一際高く聞こえた。声の方をふりむくマサイを撃とうとする合衆国兵士は、誰ひとりとしていなかった。かくて、マサイは農夫となって一生を送り、アパッチ帰順の先覚といわれるようになったのである。