「火天の城」のストーリー

1575年、織田信長(椎名桔平)は長篠の戦いで、甲斐の武田勢を破る。翌年の1576年、天下統一事業を象徴するように、琵琶湖を臨む安土の地に居城を建設することを決意する。その城は、五重七階の天主と、キリスト教の大聖堂のような吹き抜けの構造を内側に持つ大城郭であった。信長は、丹羽長秀を築城奉行としながら、設計及び現場の総棟梁を熱田の宮番匠・岡部又右衛門(西田敏行)に一任する。又右衛門は、今川義元との戦以来、十数年に渡って才気を評価していた男だった。金閣寺を建立した京の池上家、奈良の大仏殿を造った中井一門らとの図面争いを勝ち抜いた又右衛門は、妻・田鶴(大竹しのぶ)や娘・凛(福田沙紀)、門下の番匠らに支えられながら、築城を進めていく。しかし、又右衛門は難問にぶつかる。巨大な城を支える主柱として、これまでになく大きな檜が必要だった。理想の木材は木曽上松にあると考えた又右衛門は、信長の敵・武田勝頼の領国に危険を顧みず分け入っていく。そのころ国元では新たな戦乱の暗雲が立ち込め、田鶴には病魔が迫っていた。さらに又右衛門を、悲劇的な争いや仲間の死が襲う。それでも又右衛門は信長の野心を実現するため、檜を獲得しようと尽力する。