「六ヶ所村ラプソディー」のストーリー

青森県六ヶ所村。豊かな自然の広がるこの村に2004年、原発で使った燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場が完成した。工場の風下には農業地帯が広がっている。菊川さんは核燃料に頼らない村づくりを目指して12年前からチューリップ祭りを開催。再処理計画に反対し、暮らしに根ざした運動を実践している。核施設は六ヶ所村だけではなく、隣接した村々にも影響を与えている。有機や無農薬で安全な作物を作ってきた農家の苫米地さんは、再処理工場が稼動したらお米を買わないと言われ、悩んでいた。彼女もまたこの計画を止めたいと活動している。一方、六ヶ所村の漁村、泊では職を失った漁師の雇用問題が深刻だ。失業した漁師の中には、核施設関連の企業に再就職した人もいる。すでに再処理を受け入れた村では、経済的にも雇用問題の解決策としても必要だという考えが行き渡っており、反対派は少数となっている。現実問題として必要なエネルギーを確保するためには、工場の安全な稼動が必要だと考える人もいる。2005年、イギリスの再処理工場で事故が起きた。取材で見えてきたのは事故の影響よりも、44年間、日常的に放出されてきた放射性物質の行方だった。圧倒的な力と経済力に、普通の人々はどうやって立ち向かっていけばいいのだろうか。核施設賛成派、反対派それぞれの意見に耳を傾け、その取り組みを、人々の営みを、そしてそれぞれの選択を見つめてゆく。