「チェスト!」のストーリー

小学6年生の吉川隼人(高橋賢人)は生粋の薩摩っ子。ヤンチャだが正義感の強いクラスの人気者だ。鹿児島伝統の郷中教育の魂を受け継いだ賢人は、薩摩秘伝の剣法「野太刀自顕流」の修行に励んでいる。隼人の通う清水原小学校では、毎年夏に「錦江湾横断水泳大会」が開催されていた。大会に向けて生徒たちは盛り上がり、牟田敦美(宮崎香蓮)は、集団の先頭で泳ぐ先導隊を目指している。ところが、隼人はカナヅチで、そのことをクラスメイトや担任の白石奈津子(松下奈緒)に隠し続けていたのだった。昨年までは、病気やケガと偽り逃げ切っていた隼人であったが、小学校最後となる今回は父・隆夫(高嶋政宏)になかば強制的に参加を約束させられてしまう。そんなとき、隼人のクラスに東京からの転校生・矢代智明(御厨響一)がやって来る。智明は泳げるにも関わらず、クラスメイトからの遊泳大会の誘いを断り、転校初日に大ひんしゅくを買う。いよいよ逃げられなくなった隼人は近所のスイミングスクールに通い、入浴中も水泳の練習に励むが一向に上達の気配はない。泳げないことを誰にも言えず、学校での練習もサボってしまう隼人。ある日、ひょんなことから智明が泳ぎが得意だということを知った隼人は、智明をコーチに迎え、過敏性腸症候群に悩む成松雄太(中嶋和也)とともに密かに水泳の特訓をすることになる。練習を重ねるごとに3人は次第に打ち解けていくが、それでも智明は隼人たちに心の内を見せようとはしなかった。そんな中、智明の態度が気に入らない同級生たちが、水泳の授業中にいたずらを仕掛け、智明は溺れかける。その翌日、突然智明が姿を消した。智明の母・雪子(羽田美智子)に会いにいった隼人は、智明が隠していた心の傷を知る……。