「東京の嘘」のストーリー

都内にある大学の大講堂。講義を終えたばかりの精神分析学者で大学教授の瀬尾朔太郎(島田雅彦)のもとにひとりの少女が不意に現れた。女子高生・長倉ゆかり(岩田さゆり)だ。彼女は瀬尾の教え子で日頃からイジメて弄んでいるちひろ(菊池亜希子)の妹で、偶然からメールをやりとりしたことはあるが会うのは初めてだった。足首や肩にタトゥーを彫り、ピアスを耳にいくつも開けて悪ぶっているが、手首につけたビーズのミサンガがあどけない。誘惑するような視線で挑発してくるゆかりに戸惑いながらも、次第に吸い寄せられるように見つめる瀬尾。三ヶ月前に起きたある事件にこの姉妹が関係し、背後に三角関係があったことを知る瀬尾は、食指が動き、ぜひとも味わってみたいと考えていたのだ。その事件とは「海辺で白バイ警官が頭を銃で撃ち抜いた」という奇異なものだった。瀬尾は退屈な日々を飼いならす術を心得ている、と自認している男だ。妻で元女優のミナミ(小山田サユリ)とは一見奇妙な夫婦生活を楽しんでいた。瀬尾の最近の楽しみは関係した教え子の淫らな姿をケータイで撮影して妻のミナミに送ってやること。ミナミもそれをまったく同じように真似たり、ビニールをかぶっての「窒息ゲーム」など様々な遊びを作っては乱れた自分を撮影し、瀬尾に返信していた。そんな仮想的なゲームを通してつながりを保つ二人にとって、それは長いことセックスレスが続いている渇きをごまかす代償行為なのだ。エスカレートしていく「エサ」に反して募っていく虚しさ…。だがこの夫婦のお遊びメールを瀬尾がちひろに送ったことで、瀬尾とミナミの夫婦関係は思わぬ方向へ転がり始める……。