「鏡心(2005)」のストーリー

その女優はバリ島にいた。ちっぽけな孤独や違和感は、果てなく続く青い海の中に、溶けてなくなった。何もかもが大きくて、深くて、優しい。こんなにも強く、美しく咲く花は、東京にはない。「どこにいても、あなたはあなた。すべてはあなたの心の鏡でしょ?」傍らに座った不思議な少女の言葉が、胸に痛い。波の音とガムランの響きが、まるで幻想のように耳から全身へと駆け巡り、初めて観るマングローブのミドリは、瞳を通してビシビシと心を揺さぶる。いつからここにいたのか、横にいる少女は誰なのか、覚えていない。いつの間にか、魂が自分の身体を抜け、孤独に彷徨っているような気がした。

今日は映画何の日?

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