「百年の絶唱」のストーリー

平山は中古レコード店でアルバイトをしながら、作詞家を目指してはいるもの、別れた女・直美のことが忘れられずに空虚な日々を送っている。ある日、平山は店主の久米に付き添って、失踪した男が残していったレコードを引き取りに行く。そこで耳にしたこの世のものとは思えぬ異様な声。そして怪しい女が帰っていく平山たちを物陰から見ていた…。平山は失踪した男の部屋からレコード・プレイヤーと数枚のレコードをもらって帰った。その日以来、平山の周辺で奇妙なことが起こり始める。夜中にドアが叩かれ、開けると誰もいなかったり、留守番電話に口笛が入っていたり、さらにはドアに血文字が書かれたり…。どうやらそれらは失踪した男とつきあっていた女の仕業のようなのだが、平山は次第に気がおかしくなり、ついには失踪した男の記憶が平山を浸透する。失踪した男は、ダム建設で自分の村を水没させた連中を次々と殺害し、志半ばで命を絶っていた。今や失踪した男と完全に同化した平山は、全力疾走で廃墟の小学校にたどり着き、そこで亀のミイラを見つけると「亀が死んだぁ」と悲鳴のように叫んだ。