「恋の手ほどき(1958)」のストーリー

ジジ(レスリー・キャロン)はお祖母さんのマミタに育てられている無邪気な少女だ。マミタ(ハーミオン・ジンゴールド)の妹アリシタ(イザベル・ジーンズ)は昔社交界でならした一級の貴婦人である。その許へジジは学校が終わるとお行儀作法のお稽古に通っていた。ゆくゆくは、社交界の花形にしようとするマミタお祖母さんの野心である。彼女の古くからのお友達、金持ちで粋人ラシュイユ氏(モーリス・シュヴァリエ)もジジが大好きだ。彼の甥ガストン(ルイ・ジュールダン)もジジの無邪気さが大好きである。このガストンは砂糖王の2世として豪奢な生活をしている。そのために人生に退屈しきっていた。反対に叔父さんは、人生の総てが快楽の対象となるという楽天家であり、若く美しい友達が現れるたびに、マキシム・カフェに社交人士を招待し盛大なパーティーを開いた。このパーティーは社交界のバロメータで陰口と誇示と羨望が渦巻く豪華なものだった。ガストンは常にリアネ(エヴァ・ガボール)という美女と同伴で現れた。このリアネとスケート場の先生とが怪しいという噂が伝わった。ガストンはリアネを馘にし、スケートの先生をパリから追放した。傷心の甥のためにラシェイユ氏は連日連夜の宴をはった。が、ガストンは一向に浮かなかった。ジジ一家や叔父さんと海に行った時つくづくジジの社交界にない清純な心の美しさに愛を感じた。しかし今迄の気持ちを清算するために一時モンテカルロに旅立った。マミタお祖母さんは、ガストンこそジジの旦那様であると想定していた。旅行から帰ったガストンは、ジジが今迄の清純さとはうって変って俗物化されているのにがっかりした。しかしその愛情は募るばかり、意を決してお祖母さんに心を打ち明けると今度はジジから「一時的なお世話なら受けません」と断られてしまう。失恋だ。この気持ちを粋人の叔父さんに相談すると「断った?そりゃお前賃上げ要求さ」と落ち着いている。とどのつまり外の女を探せということになった。早速叔父さんのパーティーが開かれた。だがガストンが連れて来たのはジジだった。ジジの中に、消えていない可憐な清純さを知ったガストンは、マミタお祖母さんの所へジジを引っ張っていった。「ジジを下さい」と。