「パブリック・アクセス」のストーリー

アメリカの平凡な田舎町ブリュースター。ある日、両手に鞄を下げた男(ロン・マークェット)が、歩いてこの町に現れた。部屋を確保した男はケーブルTV局に赴いてワイリー・プリッチャーと名乗り、土曜7時の1時間枠を買い取る。『私たちの町』という名の番組が始まった。キャスター役の男は視聴者に向かって「現在の町の問題を教えてください」と語りかける。すぐに反響があり、些細なことを告発する匿名の電話が紹介され、これに呼応して怒る男の声も流された。番組は大きな反響を呼び、第2回目は男の大家であるホッジス(バート・ウィリアムズ)がゲスト出演。彼の町長時代の業績を男が讃えると、電話がひんぱんにかかってきた。1本の電話だけが男の目的を怪しむが、ほかは番組を歓迎。電話をかけてきた一人、レイチェル(ディナ・ブルックス)は男に個人的に将来の悩みを相談し、打ち解ける。男は番組でさらに煽り立て、人々は匿名の気安さもあって番組は活発化していったが、町ではドラッグの売人が殺されるなど次第に不穏な空気が漂い始める。一方、男はすっかり町の名士となり、町の創立記念日にも招かれる。その席で町長の演説中、ホモの噂を立てられ教育委員会を解雇されたアバナシー(ラリー・マックスウェル)が「市長がジェミニ・エレクトロニクス社を地元に誘致したのは、私腹を肥やすためだ」と弾劾。男がその夜、彼の家を訪れるとアバナシーは、市長が町の金を注ぎ込んだ地方銀行は間もなく倒産し、この町も終わりだと言う。それを聞くと、男は彼を自殺に見せかけて殺した。しかし、アバナシーを尊敬するレイチェルは、その死を知るや、彼が残した市長汚職の証拠を男に見せる。レイチェルを殺して口を封じた彼は、番組の今日のゲストである町長とにこやかに町の未来を語り合った。翌日、男は来た時と同じように鞄を下げて、誰にも知られずに町を去った……。