「アイガー・サンクション」のストーリー

2度までもアイガーの岩壁に挑み、2度とも失敗している経験を持つジョナサン・ヘムロック(クリント・イーストウッド)は、今は登山家を断念し山小屋ふうの家に住んで絵の教師として静かに暮していた。彼はかつて抜群に腕のたつプロの殺し屋として国際的に活躍した男だった。そして美術マニアとしても知られ、稼いだ金の殆どを名画蒐集につぎ込んでいた。だがかなりのコレクションが完成した現在、危ない橋を渡って金を稼ぐ必要がなくなり、殺し屋稼業からも足を洗っていた。そんな彼のもとにCIAのチーフ“ドラゴン”(セイヤー・デイヴィッド)の使者が訪れ、“制裁”を依頼した。足を洗った彼を今一度仕事に引戻すために、ドラゴンはヘムロックがいやといえない餌を用意していた。彼が所持しているピッサロの政府発行の保証書を手に入れんがために、ヘムロックはその依頼をひきうけた。スイスのチューリッヒで目標の殺し屋を難なく始末したヘムロックは、3万ドルの小切手と、彼がピッサロの正当な所持者であることを証明する米国国税局の書類を手にした。だがその帰途、飛行機のなかで魅惑的なスチュワーデスジェマイマに心を許し一夜を楽しんだが目をさましたときは既に小切手と証書は消えていた。彼女はドラゴンが派遣したCIAの女諜報員だったのだ。ドラゴンの思惑どおり、報酬をふいにしたヘムロックは再びオフィスに戻ってきた。そして第二の殺人をひきうけることになった。目標の名前や人相は一切不明、結ういつ分かっているのはその男が近々アイガーに挑戦する国際登山チームの一員であり、片足が不自由だということだけだった。ヘムロックはまずアリゾナに飛び、昔の登山仲間で今は牧場の経営者におさまっている旧友ベン・ボーマン(ジョージ・ケネディ)と国際登山チームに参加することにした。ボーマンはこの申し出を承知し、二人はスイスに飛んだ。ドイツのフレイタグ(ライナー・ショーン)、フランスのモンテーニュ(ジャン・ピエール・ベルナール)、オーストリアのメイヤーがヘムロックたちとチームを組むメンバーだった。ついに運命のアイガー登はんは開始された。ベースキャンプにはボーマンが残り、4人の男たちは垂直にそそり立つ岩壁を一歩一歩登り始めた。数時間を経て、モンテーニュに疲れがみえ始めたとき天候も急変した。猛烈な吹雪が容赦なく4人を襲い、とうとうモンテーニュが死亡した。3人は彼の遺体と共に引きかえすより仕方なかった。その途中、事故がおき、フレイタグとメイヤーははるかかなたに落下していった。ようやくのことで一人だけベース・キャンプに戻れたヘムロックは、そこで目ざす標的がボーマンであることを知った。しかしヘムロックにはどうしても旧友を撃つことはできなかった。(ユニヴァーサル映画=CIC配給1時間58分)

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