「櫻の園(1990)」のストーリー

郊外にある私立櫻華学園高校演劇部では毎春、創立記念日にチェーホフの舞台劇「櫻の園」を上演することが伝統となっていた。そんな開幕2時間前の早朝、小間使いのドゥニャーシャ役の部長・由布子がパーマをかけた髪でやって来た。普段はまじめな由布子の変化に演劇部員たちは驚くが、そんな時、若い従僕ヤーシャ役の紀子が他校の生徒とタバコを吸って補導されたというニュースが部員の間に駆けめぐる。それによって上演中止にまで発展しかけたが、顧問の里美先生のけんめいな説得によってなんとか丸く納まった。男役として人気の知世子は、今年は女主人ラネフスカヤを演じることになっていたが、初めての女役に自信を持てない知世子を、由布子は優しく励まし、そんな二人の間に友情をこえる感情が芽生えていた。そして、二人の姿を偶然物かげから見てしまう紀子も由布子に好意を持っていた。こうして開幕は近付いてきた。舞台裏での緊張感の中で紀子がふっと「志水さん、今日は誕生日でしょう?」と由布子に言う。やがて少女たちの間で小さな声で歌われるハッピーバースデーと共に、開幕のベルは鳴るのだった。