「狐と狸の腕比べ」のストーリー

美人探偵フエリス嬢は、跳梁跋扈している宝石盗賊の一味を捕縛するために、警察と気脈を通じてナン・ケーリーと偽名し、敵を欺く手段として故意に万引きを働いて投獄された。そして盗賊と結託している不正の弁護士に依頼して出獄した。弁護士はナンの美貌を利用して一儲けしようとたくらんで、ナンを手先に雇い紳士淑女と化け込んでパルマー家の宝石を狙い始めた。そしてナンの働きで首尾よくパルマーの宝石を手に入れようとした時、意外にもパルマー一味も矢張りこちらの宝石を狙っていることが解った。お互いに相手のものを巻き挙げようと秘術を尽くしている最中に、突如探偵に踏み込まれて悪漢共は一網打尽となった。そして探偵事務所に送られて来て彼らは初めてナンがフエリス探偵事務所長であることを知って開いた口が塞がらなかった。その間青年トムはパルマーに救われて配下になっていたが、ナンと相識るようになって以来、首領に脅迫されながらも真人間にならうと悶えた。そしてナンの素性を知らぬまま彼女を救ってやろうと努力したが反対にナンに救われた。かくて宝石はそれぞれ持ち主に返され、悪漢たちは正しい世渡りをすることを契約して許された。ナンとトムとが幸福を得たことは言うまでもない。