「暁の偵察」のストーリー

西部戦線に在る英国陸軍第59飛行中隊司令官ブランド少佐は自分が首斬役人であるような気がして日夜懊悩していた。それは部下の若い士官達が粗悪な飛行機に乗っては片っぱしから射落されて死んでしまうからである。彼が片腕と頼むコートネーと彼とは親友同士であるが恐怖すべき塹壕生活のために異常な精神的昂奮に驅られて毎日のように争論していた。或日コートネーは親友スコットと共に少佐の命令を無視して獨軍塹壕上に飛行して、九死に一生を得て帰って来た。その時司令官の地位を辞したブランドは憤ってコートネーに司令官たることを命じた。コートネーは責任ある地位に置かれて煩悶し飲酒に耽る。連合車の空車は形勢日に非となり、或日全員出動命令が下った。新たに赴任したスコットの弟ゴードンは実戦に経験が無いので兄はコートネーに弟を殺さないで呉れと頼んだ。併し命令は絶対でコートネーは心ならずもゴードンを死地に赴かせた。この為スコットとコートネーとは反目するに至った。帰休していたブランドが獨軍々需品倉庫爆破の命令をもってやって来た時、スコットは弟の弔い戦とばかり此の難事を引受けた。コートネーは自ら行くためにスコットを酔い潰させ、敵地五十基米にある倉庫の爆破に成功した。そして彼は自分の生命をその犠牲として捧げたのである。