「極北の嵐」のストーリー

大北プーファウンドランドのディープという一漁村に生まれたリューク・オーラムは父が数年まえ海豹船の船長として北大西洋に出漁中難船して幾多の人命を犠牲にしたので彼は死神のように嫌われジンカーと渾名され誰一人としてこの若者を乗船せしむるう者とてなかった。同じ村にジェッド・ネルソンという乱暴者がいた。彼は海豹船の船員としては経験もあり、腕もあったので非常に調法がられていた。リュークとジェッドに、その村の郵便局長の娘メリー・ジョーに恋していた。メリーの心は幾分リュークに傾いていた。それはジェッドの嫉妬心を煽った。春未だ浅き3月の初旬海豹船「ヴァイキング号」は北大西洋に向け漁に出発することとなった。ジェッドがその一行に加わったことはもちろんであったが、不幸にして船員一名の欠員が出来たため出発を延期せねばならなかった。ジョッドはリュークを乗船せしめ氷雪しげき大洋上へ連れ出して亡き者にし、しかる後にメリーを手に入れようと浅はかな考えをお越し、船長パーカーに頼んでリュークを乗船せしめた。かくて「ヴァイキング号」はディープ港を抜錨した。幾週の後、乗組員は氷上はるかに海豹の大群を発見したのでここに一隊を組織し船を離れて襲撃する。リュークとジェットもその一行に加わっていた。目的の海豹狩りは予想以上の好成績をあげることが出来たが、その終了とともに大吹雪が来襲した。それは彼らが最も恐れているところの悪天候の一つであった。一行は能う限りのスピードで本船へ帰って行った。ただひとり喜んだのがジェッドで、彼は時こそ来れりとばかりリュークを襲来した。だが、眼鏡を失ったことから視力を弱めたジェッドは目的を達することが出来なかった。これがためリュークとジェッドは一行にはぐれてしまった。自分を殺そうとした男であるがいまは全く失明しているジェッドをいたわりながらリュークは幾多の困難と闘い数日の後氷上を村へと帰って来たので驚喜した。その村人の前にジェッドは自分の罪を懺悔した。そしてリュークは恋人メリーを抱いたのである。