「赤きダニューブ」のストーリー

1945年の夏、英陸軍のニコバー大佐はウィーンで家を失った送還オーストリア人の救援事業の任務を命じられた。彼はマックフィミスタア少佐と、その暗目の恋仲の婦人士官オードリたちと仕事をはじめた。彼等の宿舎はオーキシリア尼を院長とする僧院だった。マックフィミスタアはマリア・ビューレンと呼ぶ美しいロシア生れのバレエの踊り子がいるのを僧院で発見した。マリアはソヴィエートに送還されるのを極度におそれ、この僧院に匿れていたのだが、ソヴィエート軍のビニエフ少佐に発見され、ニコバーは彼女の引き渡しに同意した。しかし、ウィーンのソヴィエートの政策がいかなるものかという事実を知ったニコバーはオーキシリア尼と協力してマリアを引き揚げ列車に乗せ、山中の避難所に匿まうのに成功する。だが、ニコバーが任務でローマに出張中に、法規一点張りオミクロン大佐の処置から、再びマリアの居どころがソ連側に知られ、ニコバーが戻ったときは、絶望したマリアが自殺を計ろうとする危いところにあった。もはや事態はニコバーにも如何ともし難いものになっていた。このときオーキシリア尼のいう「奇蹟」が国際連合会議で強請移住の禁止が発令されたのであった。マリアは自分の欲する自由をはじめて得ることができたのである。