「歓楽地帯」のストーリー

アンジェラ・ペニントンは金の有り難た味を知らない大金持のお嬢様だった。高価な着物や香水を毎日買ったり、毎夜歓楽の巷を浮れまわったりして湯水のようにお金を使いちらした。そしてこんな女に有勝ちな傲慢な我儘な人を人とは思わぬ所業が多かった。新たに抱えられた運転手のデュウイー・ヘインズは好男子だった。アンジェラはそれが気に入った。そこで殊更に彼を入念にからかって思い存分なぶっては悦に入っていた。虫が好くというのかヘインズはこの恐るべき令嬢に愛を感じた。しかし彼は身分を知って慎み深く控えていた。ある日ヘインズは彼の妹の恋人がフネーに勧められ貯金を投出して馬券を買った。その晩アンジェラは例によって兄のギルや友達のジェリー・ワイルダーと一緒にナイトクラブで酔歌乱舞していたが彼女の父親は株式の変動で破産して痛恨の極卒倒した。ヘインズは直ちにアンジェラを迎えにやられた。彼はさえぎろうとするワイルダーを突き倒してアンジェラを挌し去った。野蛮人崇拝の彼女は酔ったまぎれに感動してヘインズと接吻を交した。翌日アンジェラは無一文だった。そして競馬で当てたヘインズは5万ドルを握った。そこで2人は結婚した。ヘインズの妻となってもペニントン気質のアンジェラは贅沢な着物や毛皮の外套や香水を無暗に買ったのでまたたく間にヘインズは元の黙阿弥となり、無駄使いが多いと妻を叱って喧嘩をした。が背負い込んだ借金は返さなければならぬので妻に秘密で夜はタクシー運転手をやり始めたが、偶然このことをワイルダーに知られてしまった。とは知らぬアンジェラは本心ヘインズを愛していたので良人が無断で毎夜外出するのを嫉妬し家出をした。そしてワイルダーの乞うままにパリへ行ってヘインズと離婚手続をしてワイルダーと結婚するつもりになった。ところが彼の口からヘインズの夜の外出の真相を聞いたアンジェラは彼を打棄ててヘインズの許へ帰った。もとより彼女を愛しているヘインズは前非を悔いて許しを乞うエンジェラを悦び迎えた。