「赤い唇(1952)」のストーリー

戦後のミュンヘンの町に、米国の空軍大尉ジェフ・エリオット(ジーン・ケリー)が訪れてきた。彼は、戦争中ナチに捕らえられたとき、彼の脱出を助けてくれたドイツ人一家を探しに来たのだった。だがその一家は戦争のため死んでしまい、当時子供だった娘のウイリイ(ピア・アンジェリ)だけが成人してカフェ“シルエット”で働いていた。ウイリイは暗い性格の娘になっており、彼女と再会したジェフは、ウイリイを幸福な娘にしてやりたいと思った。ジェフはウイリイに誘われてザルツブルグにいる彼女の叔父キーグラー夫妻の元でクリスマスの休暇を過ごした。再びミュンヘンに帰ったときジェフはウイリイを深く愛するようになった。しかし、彼はCIDのテリイ大佐とパーカー中尉から、ウイリイがナチ再建組織とつながる密輸団に関係あると聞かされ、驚いた。再びウイリイと一緒にキーグラーの元を訪れたとき、ジェフはキーグラーがその一味であることを知った。ウイリイはジェフに、彼女がこの陰謀にまきこまれたのは殺すと脅迫されたためだと打ち明け、2人で国境を指して逃げようとした。国境でジェフはアメリカ軍司令部に電話で連絡することができたが、自動車の故障から2人はキーグラー一味に捕らえられ、ベルヒテスガーデンの近くの湖に連れて行かれた。湖は氷結しておりその上でオートバイのレースが行われていた。ジェフとウイリイは競技場わきの燃料置場のガソリン罐の前に立たされた。競技場の事故と見せかけて2人を殺そうとしたのだ。危機寸前、2人は脱出しようとしたが、ウイリイは撃たれた。このときCIDが出動して来た。ジェフはパーカー中尉とともに一味の首領ハイスマンを捕らえた。傷ついたウイリイは生命に別状なかった。ジェフに抱かれてウイリイの顔には、はじめて明るい微笑が浮かんだ。