「夢みるように眠りたい」のストーリー

大正七年、初めての女優の主演による映画と言われる帰山教正監督による「生の輝き」という映画があったが、実はその前に、月島桜主演による「永遠の謎」という映画があった。しかし、この「永遠の謎」は、警視庁の映画検閲によって妨害され、ラスト・シーンの撮影が出来ず、映画史から消えてしまった。昭和のはじめの東京。私立探偵、魚塚甚のもとに、月島桜と名のる老姿から、誘拐された娘、桔梗を探してほしいとの依頼がくる。調査を進める魚塚は、依頼主、月島桜が主演してラスト・シーンを残して未完に終った無声映画「永遠の謎」がこの事件の鍵となっていることを知る。事件はその映画のストーリーにそって展開し、魚塚は、娘を探しているのではなく「永遠の謎」のラスト・シーンを追っていることに気づく。そして、魚塚が月島桜の家を訪ねると、そこには若い頃の彼女がおり、彼も参加して失われたラスト・シーンの撮影が行なわれた。撮影を終えた月島桜はこれで安心して眠れると、永遠の眠りにつくのだった。