「カウボーイ」のストーリー

1871年の秋。牛を荒原に追う時は荒くれ男でありながら、この地シカゴにつくと英国紳士のような気品を示すトム・リース(グレン・フォード)が、またシカゴにやってきた。彼はホテルの気に入りの部屋を要求するが、支配人に命じられて交渉に当たった、ボストン生まれの青年書記フランク・ハリス(ジャック・レモン)は困ってしまう。なぜなら彼は、今その部屋を使っている牧場主ヴィダルの娘マリア(アンナ・カシュフィ)に恋しているからだ。親娘は怒って出ていってしまった。オペラ見物をすませたリースは、例によってポーカーをはじめる。ハリスも仲間入りして、負けつづけのリースに金を貸してやった。翌朝、借金のためにハリスと共同で仕事をすることを約束したのを思い出したリースは慌てて金を返そうとしたが、ハリスは受け取らない。カウボーイにあこがれていたハリスは、説得もうけつけない。彼を加えた一行はカンサスにやってきて、暗い影をもつ拳銃の名手ドッグ(ブライアン・ドンレヴィ)や、悪党じみたポール(リチャード・ジャッケル)を雇い入れた。野営の夜、ガラガラ蛇にかまれて死んだ男をみたり、リースの知らぬ間に結婚していたマリアの夫との意地の張り合いから、猛牛の角にかけられるところをリースに救われたりして、ハリスも、カウボーイの生活の本当の意味を知りはじめた。仲間の1人が起こした騒ぎに、男の面目のため立ち上ろうとするハリスを殴り倒して、リースは、カウボーイにとっては人よりも牛の方が大切なのだと諭した。酷熱と埃の中を、くる日もくる日も牛を追っての行進がつづく。インディアンの攻撃で負傷したリースは、ハリスに指揮を命じた。彼はハリスをカウボーイとして鍛え上げるつもりなのだ。ウィチタで拳銃の名手ドッグは、旧友とのトラブルから誤って彼を射殺し、自殺した。荒くれ男たちの間にも掟のあることをハリスは学ぶ。こうして一行は、危難にあいながらも牛を助け、シカゴについた。目的を達してハリスは、カウボーイの喜びを改めて思い知った。逞しくなったハリスを見て、ホテルの支配人は驚いた。今やまったく西部男となったハリスには、美しい女性の微笑みが待ち受けていた。