「海洋児クーガン」のストーリー

大西洋を航行する大汽船クィーンランド号が出航せんとする際、トラバース船長の前に現れた1少年がボタンである。給仕に使用してくれと船長に哀願したがもちろん聞き入れられないそれにも屈せずボタンは荷物と一緒に船に忍び込み短艇の中に身を隠したが発見された。船長に厳しく叱責されて彼は下船せねばならなかったが彼の健気な言葉を聞いた船長には深い思慮があった。彼は1年間の修業を積んだ後トラバース船長の船に給仕として働くことになった。彼は船長月の給仕になることを希望していたが船長にはプルタスという腕白な給仕がいる。時には2人の間に滑稽な争闘も起こる。その翌年船長の許嫁である美しいルース嬢が乗船した。2人の睦まじい姿は船中の羨望の的であった。乗船客にヘンリという有名な色魔が同船していた。仮装舞踏会が催されることになった。ルースはトラバース船長と踊るのを楽しみにしていた。しかし天候険悪の兆候が見えるので船長は職責を思って舞踏会へ出席することを中止したので彼女は頗る不機嫌であった。機会を狙ってヘンリは彼女を誘惑した。ボタンは心配して日頃心安くしている運動部のかつてはボクシング家であるマッグルーに訴え、ヘンリをこらしめる相談をした。ヘンリが船酔いしているので彼を担いでスチームのケースに入れ、長時間彼を蒸したので彼は半死半生になった。それでも彼は舞踏会に出席するのを忘れなかった。半ばやけ腹になっているルースはヘンリの恋の遊戯を甘んじて受けていた。ボタンは気が気でない。船長を呼ぶ手段として警報を動かしたので船長以下数名ルースとヘンリのいる室にかけつけた。ボタンは逃げ場を失い、トランクの中に入ったのを偶然にも鍵をかけられ、ようやく救い出されたが人騒がせした罰としてボタンとマッグルーは船底の牢に入れられた。突如船先に現れた山の如き流氷に船は衝突して刻々に沈んでゆく。船長は乗客及び船員をボートにのせて避難せしめ自分は責任感から1人踏み止った。牢の中のボタンとマッグルーは危うい所を救われた。一度はボートに乗り移ったボタンはこの有様を見て海に飛び込み再び本船に移り敬愛する船長と死を共にせんとした。巨船はついに海中に没したが船長とボタンは幸運にも救われた。