「怪人フー・マンチュー」のストーリー

スコットランド・ヤードのスミス警部(ナイジェル・グリーン)は、ヨーロッパ各地に頻発する怪事件が、フー・マンチュー(クリストファー・リー)の手口そっくりなのを知って愕然とした。フー・マンチューを確かに絞首刑にしたからだ。そんな折、科学者ムラー教授が行方不明となった。娘のマリア(カリン・ドール)と教授の助手カール(ヨアキム・フックスバーガー)の話から、教授はチベット産の「黒い丘のケシ」の種子を原料に、あらゆる生物の血を凝血させる猛毒の研究をしていたことがわかった。その「黒い丘のケシ」はテムズ河畔の輸入商ハヌマンから入っていることを知ったスミス警部は、ハヌマン邸を急襲した。そこにはハヌマンの秘書リン・タン(ツァイ・チン)しかいなかったが、警部はリン・タンがフー・マンチューの娘であることを見破っていた。そのため、スミス警部は、香港警察にフー・マンチュー死刑執行に関する、再調査を依頼した。結果はスミス警部の感があたっていた。フー・マンチューは処刑直前瓜2つの俳優を催眠術にかけ、身代わりに立てて逃亡したものとわかった。警部はマリアの身も危険と感じて彼女に護衛をつけたが、裏をかかれて、マリアは誘拐された。マリアを人質としたフー・マンチューはムラー教授から、「黒い丘のケシ」の秘密をさぐりだした。そして、自分の秘密放送局を通じて、フリートウィックという町を全滅させるという発表をやった。スミス警部はフリートウィックに旅立ったが、すでにおそく、平和な町は死人の町と化してしまっていた。怒りに燃えた、スミス警部の必死の探索は、テムズ河の河底にある、かつて軍隊が使用していた弾薬用トンネルこそ、フー・マンチューの地下王国であるということをつきとめた。スミス警部は地下王国を急襲した。だが、マリアを助けだしたが、フー・マンチューはムラー教授を連れて逃げ去った。幾日かが過ぎた。チベットのある宮殿に「黒い丘のケシ」が運ばれる、という情報をつかんだスミス警部は、カールと共にチベットに飛んだ。そして、宮殿をつきとめ、忍びこんだスミス警部は、そこにいたリン・タンをしばりあげ、監禁されていたムラー教授を救い出した。フー・マンチューは逃げ出していていなかったが、スミス警部は山とつまれた「ケシ」に爆薬を仕かけ、一挙にふんさいしてしまった。だが、スミス警部の耳には、フー・マンチューの「世界は再びわたしの声を聞く……」という囁きが、いつまでも聞こえ続けるのだった。