「大追跡」のストーリー

頓馬で馬鹿正直なアントワーヌ(アンドレ・ブールビル)はベビー用品を製造する小さな会社の社長だが、念願のイタリア旅行に発ったとたん、実業家で実は知る人ぞ知る密輸ギャングの大物サロイアン(L・ド・フュネス)の車にぶつけられた。サロイアンはナポリに着いた麻薬や宝石類をいかにフランスへ運びこんだものか、考えていたところ。アントワーヌを利用しようというアイデアを思いついた。そこでアントワーヌにキャデラックを提供してボルドーまでの旅行を楽しんでくれと申し出た。車には、密輸品が巧妙に隠されている。アントワーヌはよろこんでスタート。そのあとを静かに追うサロイヤン、さらにサロイヤンの敵方“二十日鼠”(V・ベナンチーニ)一味の大追跡がはじまった。途中、キャデラックの威光でモテるアントワーヌ、珍騒動をまきおこして国境に着いた。サロイヤンはアントワーヌを通過させさるために、税関の眼を必死に自分の方にひきつけようとするが、アントワーヌの方は再会の感激で彼に話しかけたために、逆にキャデラックは徹底的に調べられてしまう。しかし密輸品と思われるものはどこからも出て来ない。ガール・ハントとドンチャン騒ぎで、彼が全部投げすててしまっていたのだ。国境は無事通過したが、サロイヤンにはこのなりゆきがわからない。一方、アントワーヌは税関の様子をみてサロイヤンの正体を見破った。何くわぬ顔でドライブをつづけ、やがてさしかかった生まれ故郷で幼な友達の警察署長と協力してサロイヤンと二十日鼠の一味に罠をしかけた。が、そこは喜劇仕組みの話、ついには、いちばん高価な、ハンドルに隠されたダイヤモンドを山分けしてサロイヤンの仲間に入るアントワーヌだった。