「おかしなおかしな大追跡」のストーリー

ジュディ(バーブラ・ストライサンド)は自分の旅行カバンの中に百科事典を1冊つめこんで放浪の旅をしている。ハワード(ライアン・オニール)のカバンの中には岩石が数個。一見何の変哲もない石ころだが、これを使って原始時代のネアンデルタール人が岩石から音楽を作りだしたという新学説を論証し、賞金2万ドルをものにするつもり。そのためにわざわざアイオワから飛行機に乗って、ここサンフランシスコで開かれる音楽理論学者たちの学会にやってきたのだ。さて、同じ形のカバンを持って2人が偶然泊まり合わせたのがサンフランシスコ・ヒルトンの17階。ところが、この17階にあと2人、同じカバンの客がいた。バン・ホスキン夫人(メイベル・アルバートソン)とスミス氏(マイケル・マーフィ)。夫人のカバンの中身は宝石類。スミス氏の中身は政府の秘密書類。その書類を狙ってジョーンズという男が後をつけまわし、宝石を狙ってホテルの専属探偵と帳場係がこれまたウロチョロしているからたまらない。更に、ハワードの婚約者ユニースまで同じ17階に部屋をとって、未来の夫の監視をつとめているのだから状況はややこしい。おまけに、音楽財団の会長で、ハワードが狙っている賞金の提供者であるララビー氏(オースティン・ペンドルトン)がそそっかし屋で、ジュディをハワードのフィアンセと思いこんでいるから、誤解が誤解を生んで話は混線するばかり。数日後に開かれたパーティの席上、4つ並んだそっくりのカバンのうち、大事な岩石の入っているカバンがどれなのかわからなくなって、ジュディとハワードが全部を表に持ち出そうとしたため、みんな大あわて。つかまってはならじとばかり、ジュディとハワードは雑貨屋の運搬車に乗って逃げだし、あとの連中は逃してはならじと自動車に飛び乗り、坂の多いサンフランシスコの市街で珍妙な大追跡を展開する。チャイナタウンでは中国人のお祭に使う竜をまきぞえにし、世界で一番大きいとシスコの人々が自慢する1枚のガラスにあわや衝突の危機をまぬがれ、そしてとうとう全員サンフランシスコ湾に落ちてしまう。命に別状なかったのがせめてもの幸い。法廷へ引っぱりだされたものの、いくら判事に事情説明しても、そのあまりの複雑さに全然理解してもらえない。それでも無事釈放されたのは、この判事さんがジュディのパパだったからということになる。ドラマの解決は、再び故郷に帰る飛行機の中だ。ハワードの後に陣どっているのは意外やジュディ。フィアンセだったユニースはララビー氏と結ばれ、ハワードとジュディもめでたく結ばれることになった。