「アンギィ・ヴェラの青春」のストーリー

戦後まもない48年のハンガリー。とある地方都市の病院。スピーカーからは、社民党と共産党の統一による勤労者党の成立で、今や自由と末来が保障されたという声が響く。同じころ病院内の一室では、職員集会が開かれ、一人の見習看護婦の少女が、院長らが唖然とするようなことを発言した。不注意な注射による患者の死亡、患者からチップをとるような医者、特別な個室を与えられる金持ちのこと。孤児だったその少女アンギィ・ヴェラ(ヴェロニカ・パプ)を拾って三年も面倒をみてきたのに、と怒る院長。18歳の彼女は、父が戦死したため、母子で家政婦をしながらその病院に住み込んだのだが、母は死亡。ヴェラは孤児となったが、まじめに働いていた。そして、この勇敢なプロレタリアの少女の大胆な発言に党支部が目をつけ、彼女を学校に推薦した。無学だった彼女は講習を無事に終えた。やがて彼女は、みんなにきらわれているプチブルのトラヤーン(エルジ・パーストル)という中年女に出会い、彼女について町に行き、そこで党員の家を訪ねる。トラヤーンは、やがて、10月革命記念日の翌日、特別許可を得てブタペシュトへ向かった。その日、ヴェラは、妻子ある若い担任教師アンドレー(タマーシュ・ドウナイ)と結ばれる。トラヤーンが帰って来て再び自分を厳しく見つめ直すヴェラ。卒業の日、校長はヴェラを賛えた。トラヤーンは、彼女にジャーナリストとして頑張るように励ました。田舎の道を走る一台の車。彼女は新たな闘志を胸に秘めて旅立った。