「裏街(1941)」のストーリー

シンシナティで母の衣料店を手伝っていたレイ・スミスは、自動車技師の勉強をしていたカート・スタントンの愛をうけるべきか否かに迷っていたが、カートがデトロイトに去ったあと、ニューヨークの若い実業家ウォルター・サクセルに逢い、烈しい恋愛に陥った。2人は結婚を約したが、ウォルターと乗るはずの船に向かうレイは、彼に言いよるナイルスに妨げられウォルターは独りシンシナティを去った。独りニューヨークに出たレイはデザイナーとして独立生活を営んでいたが、街でウォルターと偶然の再会をし、2人の恋は再び燃えあがった。しかし、ウォルターはすでに妻帯し、地位も定った有能な実業家であった。レイはウォルターの地位を守るため、自らを犠牲にして、彼との愛情だけに生きる日蔭女の生活をするようになった。レイは旧知のエドから彼と別れるようにすすめられ、また今は自動車技師として成功したカートより求婚されるが、彼女の心はウォルターから動かなかった。こうして時はすぎ、ウォルターは経済代表として渡欧した。同じ船にレイも乗った。パリで、ウォルターの息子のリチャードはレイを訪ね、父と別れるようにいう。しかし、パリのホテルで俄かにウォルターは倒れ、レイの名を呼びながら息を絶えた。レイはウォルターとの愛に満ちた過去を想い、行く道の淋しさをまぎらすのみであった。