異彩を放つアメリカの監督ニナ・メンケス。3作が日本劇場初公開

 

1980年代初頭より活動しているアメリカの孤高の監督、ニナ・メンケス。その初期2本「マグダレーナ・ヴィラガ」「クイーン・オブ・ダイヤモンド」と最新作「ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー」が、〈ニナ・メンケスの世界〉と題して5月10日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国順次公開される。メインビジュアルと場面写真が到着した。

 

 

女性の内面、孤独や暴力をテーマに、独自の美学で研ぎ澄まされた作品を創造してきたメンケス。「デヴィッド・リンチに負けず劣らず、無意識を描き出す芸術家」(The New York Times)、「ペキンパーやカサヴェテス以来のアメリカのどの監督よりも、暴力というテーマについて雄弁」(LA Weekly)などと評され、シャンタル・アケルマンやケリー・ライカートを引き合いに称賛されてきた。

昨年の国立映画アーカイブでの特集〈アカデミー・フィルム・アーカイブ 映画コレクション〉で代表作「クイーン・オブ・ダイヤモンド」が上映されたのに続き、このたび同作を含む3本が日本劇場初公開。自らを〈映画の魔女〉と呼ぶメンケスの映画世界が、いよいよ本格的に《発見》される。

 

「マグダレーナ・ヴィラガ」Magdalena Viraga

1986年/カラー/90分
監督・製作・脚本・撮影:ニナ・メンケス 編集:ティンカ・メンケス、ニナ・メンケス
出演:ティンカ・メンケス、クレア・アギラール
©1986 Nina Menkes ©2024 Arbelos

殺人容疑で捕まった娼婦アイダ。その心模様である内的世界と、実際に身を置く外的世界を、時系列を曖昧にしながら描き出す。監督の妹であるティンカ・メンケスが主演。ロサンゼルス映画批評家協会賞の年間最優秀インディペンデント/実験映画賞を受賞した。

※アルべロス・フィルムとアカデミー・フィルム・アーカイヴが修復。共同提供:EOSワールド・ファンド

 

「クイーン・オブ・ダイヤモンド」Queen of Diamonds

1991年/カラー/77分
監督・製作・脚本・撮影:ニナ・メンケス
出演:ティンカ・メンケス、エメルダ・ビーチ
©1991 Nina Menkes ©2024 Arbelos

ラスベガスに生きる女性ディーラーの持て余した日常を、監督いわく「私が描いたアメリカ合衆国像」として撮り上げた一本。「90年代のアメリカにとっての『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コルメス河畔通り23番地』となりえるだろう」(Chicago Reader)と称えられた。

※アカデミー・フィルム・アーカイヴとザ・フィルム・ファウンデーションが修復。資金提供:ジョージ・ルーカス・ファウンデーション 共同提供:EOSワールド・ファンド

 

「ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー」BRAINWASHED: Sex-Camera-Power

2022年/カラー/107分
製作・監督:ニナ・メンケス 撮影:シェイナ・ヘイガン 作曲:シャロン・ファーバー 製作総指揮:ティム・ディズニー、スーザン・ディズニー・ロード、アビゲイル・E・ディズニー 共同製作:マリア・ギーズ、グオ・グオ、サマー・シンレイ・ヤン、サンドラ・デ・カストロ・バフィントン クリエイティヴ・プロデューサー:インカ・ルシ
出演:リアノン・アーロンズ、ロザンナ・アークエット、キャサリン・ハードウィック
© BRAINWASHEDMOVIE LLC

映画メディアがいかに《Male Gaze=男性のまなざし》に満ちているか、そしてその表現がいかに私たちの生活に影響を及ぼしているかを解き明かすドキュメンタリー。ヒッチコックからスコセッシ、タランティーノ、2020年代の新しい作品まで大量に抜粋。

 

〈ニナ・メンケスの世界〉

提供:マーメイドフィルム、Respond
配給:コピアポア・フィルム
宣伝:マーメイドフィルム、VALERIA
公式サイト:ninamenkesfilmfes.jp

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