原作ファンも納得の実写化! 今からでも遅くない「キングダム」入門

2023年夏、公開されたシリーズ3作目「キングダム 運命の炎」。2019年の第1作「キングダム」、2022年の第2作「キングダム2 遥かなる大地へ」の3作すべてが興行収入50億円を超え、日本映画界屈指のメガヒットシリーズとなっている。続篇の製作も決定しているこのシリーズだが「キングダム 運命の炎」の魅力とは何なのか?

史上初の中華統一を目指す戦い

実写映画「キングダム」シリーズの原作は、原泰久が2006年から『週刊ヤングジャンプ』に連載中の同名大人気漫画。2013年には第17回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞し、コミックの累計発行部数は最新第70巻で1億部を突破。2012年にはテレビアニメもスタートし、最新の第5シリーズは新年からNHK総合にて放送が開始。

舞台は2200年以上前の紀元前の古代中国、約500年もの争乱が続き、戦国七雄の七大国が覇権を争っていた春秋戦国時代末期。天下の大将軍を目指す信と、後に始皇帝となる秦王・嬴政(えいせい)による、史上初の中華統一を目指す戦いを、史実を基にしながらも独自の解釈や発想を交えて描いた壮大な中国歴史活劇だ。第1作では、戦災孤児で下僕だった少年・信が、共に育った親友・漂と瓜二つの若き秦王・嬴政と出会う。嬴政は、異母弟のクーデターで王座を奪われ、逃亡の身となっていた。信は、嬴政の影武者として亡くなった漂との約束を果たすため、嬴政の王座奪還に力を貸すことになる。嬴政の王座奪還後を描く第2作「キングダム2 遥かなる大地へ」では、中華統一を目指す秦と隣国・魏が蛇甘平原で激突。歩兵として初めて戦場に出た信は、新たな仲間と出会い、武功をあげる。そして最新作「キングダム運命の炎」では、嬴政が伝説的な大将軍・王騎を秦の総大将に任命し、隣国・趙と決戦の地・馬陽で戦うことに。百人を率いる隊長・百人将となった信は、王騎の命令で戦局を左右する特殊任務につくが……。

主人公・信役の山﨑賢人、嬴政と漂の二役の吉沢亮、信が憧れる大将軍・王騎役の大沢たかおらが、本作のために身体を鍛え上げ、多くのアクションシーンを自ら熱演。豪華キャストが多種多彩なキャラクターに扮し、唯一無二のハマりぶりをみせている。特に約20㎏増量する肉体改造で、常人離れしたカリスマの王騎を実写化してみせた大沢には、評価の厳しい原作ファンからも絶賛の声が寄せられた。

原作者も脚本に参加

監督は「GANTZ」「図書館戦争」各シリーズなど、エンタメ大作のヒットメーカー、佐藤信介。アクション監督は佐藤監督と多くの作品で組む名コンビの下村勇二が務め、ダイナミックなド迫力アクションをみせる。

そして、脚本には黒岩勉と共に、原作者の原自身も参加。大筋は原作に忠実だが、随所に実写版ならではのアレンジやオリジナルの展開も交え、今回の第3作では「馬陽の戦い」のエピソードの中に、嬴政の壮絶な過去が明かされる「紫夏編」を、原作とは異なる形でうまく組み込んでいる。原作では、嬴政が心を許した一人の宮女にのみ明かした過去が、映画では王騎に戦いへの覚悟を問われた中で明かされる形に変わり、戦場を離れていた王騎が総大将を受諾する動機の一つとなる。さらには、その場にいた信も嬴政の覚悟を知ることになり、3人の関係性を深めると共に、原作にもある先々代の王・昭王の遺言を伝える流れに繋げている。

人質として敵国で酷い扱いを受け、深い闇の中にいた嬴政を救い出してくれた恩人・紫夏が登場する過去のエピソードは、「殺させない!」と必死の形相で嬴政を守り抜く紫夏役の杏の熱演も相まって、感動必至。また、“嬴政がなぜ中華統一を目指して戦うのか”という、シリーズの根幹のテーマにも迫るだけに、7年前の嬴政(設定上は9歳)を子役ではなく吉沢本人が演じたことも効果的だ。


続篇はさらに面白い!?

前半は嬴政の物語で感情を揺さぶり、中盤以降は本シリーズならではの戦略・戦術を交えた大スペクタクルの激闘が、隊長となった信のアクション満載で描かれ、熱く心を躍らせる。さらには「馬陽の戦い」自体が、王騎にとって因縁深いことも次第にわかってくる。信、嬴政、王騎が並び立ち、前半と後半に大きな盛り上がりを見せた上で、衝撃的な最高のクリフハンガーをみせて終わる今作は、全篇戦闘シーンだった前作よりもドラマ性が増し、感動と興奮のサービス満点なエンタメ大作となっている。

2024年1月10日リリースの『キングダム 運命の炎 ブルーレイ&DVDセット プレミアム・エディション』には、特典が満載。映像特典ブルーレイディスクには、メイキング、舞台挨拶イベント映像集、主要キャストやスタッフによる3種類のインタビューなどが、総計3時間以上の大ボリュームで収録。山﨑と吉沢と松橋真三プロデューサーによるインタビューでは、本作に込めた熱い思いと共に、松橋プロデューサーから「紫夏編」は削られる可能性もあったという衝撃秘話などが明かされている。また、吉沢は「3(作目)が一番(面白い)かと思ったら、噂では次(4作目)が一番面白いらしい」と、続篇への期待を煽るコメントも聞かせてくれる。さらには豊富な封入特典もつく。

第4作も決定している本シリーズは、山﨑と吉沢がキャラクターと自身の成長がリンクしているとも語っていて、さらなる続篇にも意欲をみせている。膨大な原作すべてを映画化するのは難しいだろうが、これだけスケールの大きな映画シリーズを同キャストでどこまで続けることができるのかは、見届けてみたい。数十年にわたって続く、かつてない連続活劇大作シリーズとなるかもしれず、シリーズ未見の方は今のうちに見始めることを、ぜひ、お勧めしたい。

文=天本伸一郎 制作=キネマ旬報社
(「キネマ旬報」2024年1月号より転載)

「キングダム 運命の炎」

●1月10日(水)ブルーレイ&DVDリリース(レンタル同時)
▶ブルーレイ&DVDの詳細情報こちら

ブルーレイ&DVDセット プレミアム・エディション【初回生産限定】
 価格:8,789円(税込)
【ディスク】<3枚>(DVD本編+2D本編ブルーレイ+映像特典ブルーレイ
★映像特典★
スペシャルなインタビューを3種類収録!
①クロス・インタビュー:山﨑賢人×吉沢亮×松橋真三プロデューサー
②クロス・インタビュー:大沢たかお×佐藤信介監督
③キャストインタビュー:総勢11名のキャストインタビュー
★封入特典★
特製ブックレット(42P)、キャラクターブロマイドカード(6種)×特製カードケース、原作イラストポストカード(7種)、特製デジトレイ&アウターケース仕様。


●ブルーレイ&DVDセット(通常版)
価格:5,280円(税込み)
【ディスク】<2枚>(DVD本編/2D本編ブルーレイ)
★映像特典★
予告編やTVスポットなどの約7分の特典映像を収録。

※仕様、内容等は予告なく変更となる場合がございます。


●2023年/日本/本編100分

●原作:原 泰久「キングダム」(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
●監督:佐藤信介
●脚本:黒岩 勉 原 泰久
●音楽:やまだ豊
●主題歌:宇多田ヒカル 「Gold ~また逢う日まで~」(ソニー・ミュージックレーベルズ)

●出演:山﨑賢人 吉沢 亮 橋本環奈 清野菜名 杏 山田裕貴 大沢たかお ほか

●発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©原泰久/集英社 ©2023 映画「キングダム」製作委員会

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