反町隆史が一躍ブレイクした『ビーチボーイズ』&『GTO』、放送から25年超を経て待望のBD化!

「夏はやっぱり海だろ」――という亀山千広プロデューサーの一言から企画がスタートしたと言われるのが、1997年の夏にフジテレビの月曜9時、通称“月9”で放送されたドラマ『ビーチボーイズ』だ。ラブストーリー全盛だった当時の“月9”で男同士の友情をメインに据えた試みが注目され、最高視聴率26.5%を記録する大ヒット。真夏のイメージを色濃く残すドラマとして、「夏と言えば」の1本に間違いなく挙がる本作が放送から26年を経過したこの夏、Blu-ray Boxで7月26日にリリースされた。

何も起きない最高の一瞬を切り取った“人生の夏休み”「ビーチボーイズ」

主演はこの頃めきめきと売り出し中だったふたり、反町隆史と竹野内豊。反町はこの年の1月に同じ“月9”の『バージンロード』で和久井映見の相手役をつとめ、これが満を持してのドラマ初主演となった。一方の竹野内も、この前年に大ヒットした『ロングバケーション』でヒロイン山口智子の弟役をつとめ、本作でその人気を決定的にした。今でこそふたりとも渋い二枚目として、さらにコメディ芝居もそつなくこなすベテランとしての地位を確かなものにしているが、何しろこの時はまだ野性味たっぷりの若きイケメン(そう言えば、当時はまだそんな言葉もなかったような……?)ぶりで、ギラギラした原石の魅力を放っていた。

このふたりを主役に据え、大の大人たちが、ただひたすら海辺の町でのんびりと過ごすだけのドラマ。いや、さすがに「だけ」は失礼かな。でも、大袈裟なことは何もしない、事件が何も起きないドラマだったからこそ、『ビーチボーイズ』は面白かったのだ。

ともに20代中盤にさしかかったふたりの青年。楽観的でお調子者の桜井広海を反町が、仕事に疲れたエリート商社マンの鈴木海都を竹野内が、それぞれ演じる。対照的な性格のふたりの男がたまたま訪れた海辺の町で出会い、これも偶然、寂れた民宿“ダイヤモンドヘッド”にたどり着く。実はそれぞれ挫折と心の傷を抱えていたふたりは、この海で長い夏休みを過ごしながら、さまざまに出会う人たちとの交流の中で周囲に影響を与え、そして自分たちも変わっていく……。

モラトリアム期を過ぎて壁に突き当たった者たちの“人生の夏休み”。そんなテーマを体現する反町と竹野内の噛み合わない掛け合いが楽しい。彼らを叱咤し、それでいて優しく見守る海辺の町のマドンナ・春子に扮した稲森いずみの好演、民宿の自称看板娘・真琴を演じた広末涼子(当時17歳の瑞々しい芝居が映像に残っていることに感動すら覚える)の可憐さ、そして、その祖父で民宿の経営者を演じたマイク眞木! 彼の朴訥とした芝居は決して上手とは言えないが、自称「日本で初めてサーフィンをした男」というどこか浮世離れしたこの役柄に絶妙な説得力を与えている。

まさに、このひと夏だけに許された一瞬の輝きが随所に凝縮されているドラマ。「夏はやっぱ、海だなあ」

元暴走族の型破り教師・鬼塚英吉が学園を変える!「GTO」

『ビーチボーイズ』の翌年の夏、今度は反町の単独初主演作となったのが『GTO』である。藤沢とおるの同名人気コミックが原作で、元暴走族の型破り教師・鬼塚英吉の活躍を描く破天荒な学園ドラマ。『ビーチボーイズ』をも凌ぐ最高視聴率35.7%の大ヒットとなり、99年には映画化もされた。今さら「“グレイト・ティーチャー・オニヅカ”の略」なんて説明は不要だろうか。反町が歌う主題歌『POISON』の歌詞にある「♪言いたいことも言えないこんな世の中じゃ~」は今でもいろんなかたちで耳にし、目にする機会の多いキラーフレーズで、知っている人もたくさんいることだろう。「ビーチボーイズ」の主題歌『Forever』も反町の隠れた(隠れてないか)名曲だが、『POISON』はドラマのタイトルバックのイメージもあって「♪ズッチャ、ズズチャ~」というイントロが流れるだけで、ついついワクワクさせられる、ポイズン。

その『GTO』もオンエアから25年が経過し、『ビーチボーイズ』と同じ7月26日にBlu-ray Boxがリリースされることになった。

反町隆史最大の当たり役“グレイト・ティーチャー・オニヅカ”

舞台となる武蔵野聖林学苑は自由な校風を謳っているが、内情はいじめや登校拒否などさまざまな問題を抱えた生徒たちだけでなく教師たちにも問題が山積する、まさに“問題だらけ”の高校。そこに臨時採用の非常勤教師として赴任したのが、本作の主人公・鬼塚英吉だ。問題児ばかりが集まる2年4組の担任を任された鬼塚は、元暴走族のリーダーならではの無茶なやり方で、無理解な親や教師、馬鹿げた規則に縛られ自分らしさを見失った生徒たちの心をこじ開けていく。初めは鬼塚に反発した生徒たちも次第に彼を受け入れ、信頼関係を築いていくが……。学校のおかしな体質と対峙する“グレイト”な“ティーチャー”鬼塚は反町最大の当たり役で、無鉄砲なキャラクターを全身で表現した躍動感が今も眩しく映る。

鬼塚の同僚教師で本作のヒロイン・冬月あずさを演じたのが松嶋菜々子。96年のNHK朝ドラ「ひまわり」の主役に抜擢されスターへの階段を上りつつあった彼女も、本作で大きく花開いた。もちろん、『GTO』での共演をきっかけに反町と松嶋が実生活で結婚し、ビッグカップル誕生となったのは誰もが知る通り。

学園ドラマの常で生徒役からも、のちの人気者が多数輩出。筆頭はクラスの影のリーダー・菊池を演じた窪塚洋介だろう。まだ無名の存在だった窪塚は本作で一躍全国区の知名度を獲得。2000年の『池袋ウエストゲートパーク』と翌01年の映画「GO」で一時代を築く。生徒たちの中心的存在の池内博之、中村愛美もブレイクし、のちに歌手として活躍した希良梨、子役としてすでに人気だった山崎裕太、長くクセ者として活躍する徳山秀典ら若手俳優たちの充実ぶりも見どころのひとつだ。

そんな大勢の生徒役の中で要注目は小栗旬。彼が演じたのはクラスの女子からいじめを受けている生徒の吉川で、第3話ではそれを苦に自殺未遂騒動を起こす。全体ではあまり出番が多くなく、まだ成長過程で声が高く背も低かったため「これが本当に小栗旬?」と思ってしまうが、ふとした表情や仕草にしっかりした芝居の片鱗が見て取れる。

まだ無名だった出演者のひとりには藤木直人もいる。もちろん生徒役ではなく、鬼塚の暴走族時代からの親友で今は不良警察官の冴島龍二役。反町との掛け合いが楽しいコメディリリーフを堅実にこなし、のちのブレイクに繋げた。彼らのこうした初々しい姿を改めて見直すのは、本当に楽しい。

『ビーチボーイズ』『GTO』それぞれのスペシャル版も収録

今回の待望のブルーレイ化。『ビーチボーイズ』には、最初のオンエアから半年後の98年1月に放送された「スペシャルドラマ版」も収録される。続編なのに真冬のオンエアで大丈夫? と思ったその種明かしは、ぜひ直接その目で確かめてほしい。『GTO』も、連ドラの大好評を受けて翌98年6月に放送された「GTOドラマスペシャル」を収録。鬼塚が代理教員として別の女子高に派遣され、そこでも騒動を起こしながら学園の問題を解決する姿が描かれる。キャストのインタビューやNG集を含む「GTO総集編」も特典映像として収録。

90年代末の夏を彩った大ヒットドラマ2作で、今年の夏も熱く盛り上げたい。

文=進藤良彦 制作=キネマ旬報社

 

 

『ビーチボーイズ』 Blu-ray Box

●7月26日(水)発売
▶Blu-rayの詳細情報はこちら

●価格:33,000円(税込)
【収録内容】
・ドラマ本編全 12 話
・スペシャルドラマ 1 話
【特典映像】
・オープニング SPECIAL EDITION
・サイパンロケ他メイキング映像
●本編出演:反町隆史、竹野内豊、広末涼子、秋本祐希、辻香緒里、原沙知絵、佐藤仁美、マイク眞木、稲森いずみ 他
●脚本:岡田惠和
●主題歌:「Forever」反町隆史 with Richie Sambora(ユニバーサル ミュージック)
●発売元:フジテレビジョン 販売元:ポニーキャニオン
© フジテレビ

『GTO』 Blu-ray Box

●7月26日(水)発売
▶Blu-rayの詳細情報はこちら

●価格:33,000円(税込)
【収録内容】
・ドラマ本編全12話
・GTOドラマスペシャル
【特典映像】
・GTO総集編
●本編出演:反町隆史、松嶋菜々子、希良梨、池内博之、中尾彬、白川由美 他
●発売元:関西テレビ放送 販売元:ポニーキャニオン
©藤沢とおる/講談社/関西テレビ放送/アベクカンパニー

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