EDMのレジェンドが主演! レクサスISの暴走&変態キャラたちの新感覚エクストリーム・カーアクション!!!

ベルギー発、エクストリーム感覚MAXなコメディ・カーアクション「ワイルド・ハザード」が5月17日より全国のゲオからレンタル開始された。EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)界のレジェンド、ディミトリ・ヴェガス&ライク・マイクのディミトリ・シバイオスを主演に迎え、ゴールドカラーのド派手なレクサスISが爆走する見どころ満載のハイパー・カーアクションだ。

欧州製カーアクションはアイデア勝負。コメディとサスペンスの絶妙なブレンド

「ワイルド・スピード」シリーズに代表されるように、トリッキーでハイスピードな展開のカーアクション映画は世界的に人気のジャンル。今やハリウッドだけでなく韓国、中国、インドなど映画産業に勢いがある国はみな、このジャンルの超大作を製作して斬新なビジュアルを競っている。

ヨーロッパでもカーアクション映画は人気が根強く、ジャンルに先鞭をつけたリュック・ベッソン製作のフランス映画「TAXi」シリーズはあまりに有名だが、ほかにもオランダ映画「ロード・インフェルノ」(2019)やスペイン映画「暴走車 ランナウェイ・カー」(2015)とそのドイツ版リメイク「タイムリミット 見知らぬ影」(2020)などは力技でねじ伏せるハリウッド作品とは一味違った、小技を縦横に効かせたカーアクション/サスペンスだった。

「ワイルド・ハザード」もそうした流れに連なり、アイデアがたっぷり盛り込まれ、エクストリームなネタの数々に大笑いしつつ、ノンストップの爆走アクションを堪能できる。舞台は観光地としても有名なベルギーの港町アントワープ(アントウェルペン)。撮影はその下町や裏路地の怪しげな風景をとらえ、狭い路地やビル内部を主人公のレクサスが暴走を続ける。


EDMの帝王・ディミトリ・シバイオス、俳優としての新境地

主演のディミトリ・シバイオスは前述したようにクラブ・ミュージックの世界ではあまりに高名なDJだが、近年は「ランボー ラスト・ブラッド」(2019)や「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」(2022)などに出演し俳優としてハリウッド進出に成功、個性的なキャラクターを自在に演じ注目されてきた。

そんなディミトリ・シバイオスが主演に迎えられた本作で演じる街のワル、ノアはカスタマイズしたド派手な金色のレクサスを乗り回し、一獲千金を夢見てその日暮らし。恋人レアとその娘ジータとの出会いで真っ当な生き方を目指そうとするが、刑務所帰りの従兄弟のカルロスに、ムショ仲間の迎えを頼まれ応じてしまう。ところがカルロスと仲間はノアの車を使ってマフィアのアジトから強盗をはたらき、しかも現金が入っていると思い込んだアタッシュケースの中身はドラッグ。盗まれた貴重なブツを奪還しようとマフィアはジータを誘拐しノアを脅迫する。悪運に悪運が重なり、自慢のレクサスをボコボコにされながらも、誘拐されたジータを救おうと疾走するノアだったが……。ワルになりきれず、恋人の娘に愛されようとする根はマイホーム志向の走り屋をディミトリは自然体で演じる。その優しいまなざしの演技は彼の新境地だ。

そこに次々と現れる激ヤバな面々、Netflixドラマシリーズ「アンダーカバー 秘密捜査官」の麻薬王フェリー役で知られるフランク・ラマースのとことんゲスなギャング親父、モニック・ヘンドリクス演じるドSな女殺し屋などのキャラが斬新でテンション爆上がり! 怪優ジーン・ベルヴォーツ演じる変態警備員の異常な高級車愛(21年のパルムドール作品『TITAN/チタン』のパロディか?)にも爆笑必至。コメディとサスペンス、さらにドロドロのスプラッターまで絶妙にブレンドされた斬新なカームービーになった。

この愛車陵辱シーン連続に、車好きの観客は耐えられるか?

映画のもうひとつの主役といえるトヨタの高級車レクサスは「ワイルド・スピード」シリーズへの登場はもちろん、近年はMCU映画に頻繁に登場し、「エターナルズ」(2021)ではNX、「ブラック・パンサー/ワカンダ・フォーエバー」(2022)ではLC500が“出演”してクールな外観とすぐれた走行性を世界にアピールした。

本作に登場するレクサスISは1998年に初代が発売された中型セダンで、画面上で見るかぎり年式はかなり古そう(なんせボコボコに壊されるので…)。そのぶんエクステリア、インテリア共にかなり金をかけて改造されている印象。本編は主人公のノアが、総革のオーダーメードシートを丁寧に掃除するシーンからスタートするが、そんなお気に入りの特注車が次から次に現れる“ヤバい奴ら”によって汚され、壊され、血まみれにされていく。それを悲しげに見つめるノアの視線がせつなくも笑える。車好きの観客には、きっとたまらないMの快感をもたらすブラックコメディなのだ。

監督は「CUB/カブ 戦慄のサマーキャンプ」(2014)で新感覚のキャンプ・ホラーを高く評価されたジョナス・ゴーファート。ミュージックビデオを多数手掛ける監督だけに、ディミトリが監修した音楽のインサートにも最高のセンスを感じる。ダンスミュージックとレクサスの暴走にあわせて体を揺らしながら観ると、ゴキゲンに 酔えること間違いなしの必見のエンタメ作だ。

文=藤木TDC 制作=キネマ旬報社

 

 

「ワイルド・ハザード」
●5月17日(水) ゲオ先行レンタル

●2022年/ベルギー/本編88分
●監督・脚本:ジョナス・ゴーファート
●出演:ディミトリ・シバイオス、ジェロン・パーシヴァル、ジェニファー・ヘイレン

●発売・販売元:プルーク
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