- 手に汗握る
- 感動的な
- 怖い
- おしゃれな
- 泣ける
- 可愛い
- 笑える
- 重厚感のある
- かっこいい
- ほのぼのとした
- セクシーな
- スカッとする
- 親子で楽しめそう
- 考えさせられる
ここが見どころ
柳澤愼一と高橋長英が40年ぶりに再会した老兄弟を演じる、長野県上田市を舞台にした人間ドラマ。父の葬儀を終えたある日、町工場を細々と続ける76歳の鉄男のもとに、40年間行方知れずだった兄・金之助が訳あり風の若い女・樹里を連れて突如戻ってくる。劇団文学座の舞台演出家で日本劇団協議会会長、日本演出者協会理事などを務める西川信廣が、パフォーマンス集団『鉄割アルバトロスケット』の脚本家であり『のろい男 俳優・亀岡拓次』で第38回野間文芸新人賞を受賞した戌井昭人と組み、兄弟の確執と絆を描く。
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映画専門家レビュー
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映画評論家
上野昴志
寂れた鉄工所を営む初老の男のもとに、兄が訳ありの女を連れて40年ぶりに帰ってきて、周囲の年寄り仲間を含め、ちょっとした波風が立つという話自体は悪くないが、兄に扮する柳澤愼一をはじめ、新橋耐子のスナックに集う老人たちの演技が、芝居臭いのが鼻につく。皆さん、芝居をじっくり見せたいという監督の期待に応えたのかもしれないし、やってるほうは気持がいいかもしれぬが、映画にとっては邪魔になる。だから、自然体でそこにいる高橋長英にカメラが向くと、ホッとする。
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映画評論家
上島春彦
ラストに流れる〈私の孤独〉に七〇年代『木下恵介アワー』の記憶が蘇り、感無量である。高橋は『痛快!河内山宗俊』でファンになって以来四十年。柳澤はラピュタの告知ナレーションを聞いていたから健在なのは知っていたが、ここまで動けるとは意外だった。彼はもちろん『奥さまは魔女』から知っている。おどろおどろしい憎悪劇が起こりそうな登場(再会)シーンだが、案に相違して和み系ストーリーで嬉しい。喫茶店での固定ロングでドラマが二つ分、一気に展開する効率性を高評価。
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映画評論家
吉田伊知郎
冷え冷えとした地方都市を舞台に無愛想な老兄弟の再会というカウリスマキあたりが撮りそうな話で、日本映画的な情感に流れないのが良い。おしゃべりの度が過ぎる台詞の洪水に日々晒される身としては、饒舌ながら無駄な台詞のない見事な脚本と柳澤愼一の声に聴き惚れる。〈秘密〉はあっさりしたものだが、最近では珍しく全篇をアフレコで撮っているようで、均一化された声が継続していくのが効果的。今号は老人を対照的に描いた3本が並んだが、今後はより作り手の見識が問われる。
「兄消える」のストーリー
信州・上田にあるいまなお昭和の匂いが残る袋町で親から受け継いだ町工場を細々と続ける鈴木鉄男(高橋長英)は、76 歳になるまで結婚もせずに暮らしてきた。ここ最近は父親の介護に追われていたが、そんな父が100 歳で他界。商店会長の加賀(金内喜久夫)や、工場を営む渡辺(坂口芳貞)や弁当屋の坪内(原康義)といった幼馴染たちが葬儀に参列し、明るい宴が繰り広げられる。彼らにとって死は明日にでも我が身に起こる現実だった。多くの地方都市と同様にこの町の商店街も工場も少子高齢化の影響で後継者不足に悩まされているが、それでも彼らは活力にあふれている。そんなある日、40 年間も行方知れずだった兄の金之助(柳澤愼一)が、ふらりと舞い戻る。80 歳になる金之助のそばには、娘ほど歳の離れた吉田樹里(土屋貴子)がいた。金之助は父の介護ベッドを寝床に居候を決め込み、金之助と樹里との奇妙な共同生活がスタートする。金之助は持ち前の明るさでこれまでの空白の時間が嘘であるのように鉄男の行きつけのスナック・ババロアにたむろする昔馴染みとも意気投合。樹里の話によれば、金之助はフィリピンで暮らしていた時期もあったらしく、鉄男は借金を返済するため工場の仕事に明け暮れてきた我が身との違いに不公平さを感じる。樹里にもまた人には明かせない秘密がある様子。配達中の坪内が交通事故に遭い、金之助が助けに駆けつけた合間に、樹里は姿を消してしまう。どうやら誰かに連れ去られたらしい。樹里の失踪を契機に、鉄男は金之助から彼女の真相を明かされる。助けを求めている相手を放っておけない性格の金之助にとって、樹里もまたそんな相手の一人だった。金之助の心の中にはもう一人の弟・銀次を救ってやれなかった負い目がつきまとっており、そのせいで鉄男たち家族は迷惑をこうむってきた。これまでの空白の時間を埋め合わせるかのように、40 年ぶりの兄弟喧嘩をする金之助と鉄男。その翌日、金之助は置き手紙を残し再び姿を消す……。
「兄消える」の写真
「兄消える」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2018 |
公開年月日 | 2019年5月25日 |
上映時間 | 104分 |
製作会社 | 「兄消える」製作委員会(企画・制作:ミューズ・プランニング) |
配給 | エレファントハウス=ミューズ・プランニング |
アスペクト比 | シネマ・スコープ(1:2.35) |
カラー/サイズ | カラー/シネスコ |
音量 | 5.1ch |
公式サイト | https://ani-kieru.net/ |
コピーライト | (C)「兄消える」製作委員会 |
映画専門家レビュー
今日は映画何の日?
NEW今日誕生日の映画人 1/25
- 森田芳光(1950)
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の・ようなもの のようなもの
2011年に急逝した「家族ゲーム」「それから」の森田芳光監督の劇場デビュー作「の・ようなもの」の35年後を描く青春ドラマ。生真面目で冴えない落語家が、落語を捨てのんびりと暮らす兄弟子と出会い、自分らしく生きる楽しさを知っていく。監督は長年、森田組を助監督として支え続けた杉山泰一。出演は「僕達急行 A列車で行こう」の松山ケンイチ、ピエール瀧、「間宮兄弟」の北川景子、塚地武雅、佐々木蔵之介、「の・ようなもの」の伊藤克信、尾藤イサオ、でんでん、「メイン・テーマ」の野村宏伸、「椿三十郎(2007)」の鈴木亮平、「家族ゲーム」の宮川一朗太、「39 刑法第三十九条」の鈴木京香。 -
僕達急行 A列車で行こう
「うさぎドロップ」の松山ケンイチと「ワイルド7」の瑛太が鉄道マニアに扮し、恋に仕事に奮闘する姿を描いたコメディ。九州ロケを敢行し、合計20路線80モデルにもおよぶ車両の登場が鉄道映画らしいこだわり。共演は「パレード」の貫地谷しほり、「ALWAYS 三丁目の夕日'64」のピエール瀧。森田芳光監督の遺作。
NEW今日命日の映画人 1/25
- 円谷英二(1970)
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ゴジラ 60周年記念 デジタルリマスター版
日本怪獣特撮映画の金字塔“ゴジラ”。その第1作目の公開から60年をむかえ、初回上映状態を再現することを目標に7ヵ月かけて制作されたデジタルリマスター版。4Kスキャンされたデータを元に、ソフトウェアおよび手作業による1コマ1コマのごみ取り処理がなされた。また音声も違和感が生じないよう細心の注意が払われたノイズ除去が行われている。監督は本多猪四郎。特技監督は円谷英二。出演は宝田明、河内桃子、平田昭彦、志村喬ほか。 -
ネオ・ウルトラQ 特別上映 part.II
1966年に放送された伝説のテレビドラマ『ウルトラQ』。その後の「ウルトラマンシリーズ」の礎となった作品。2013年、円谷プロダクション×WOWOWの共同製作による“セカンドシーズン”として全12話のまったく新しいドラマシリーズ『ネオ・ウルトラQ』が最新鋭4Kカメラを導入し、石井岳龍、中井庸友、入江悠、田口清隆ら4人の気鋭のクリエイターたちにより制作された。WOWOWでの放映に続き、2013年より順次、劇場公開される。 TV放映された全12話の内3話に加え、モノクロ作品であったオリジナルの『ウルトラQ』をハリウッドのデジタル技術でHDリマスター&カラー化した『総天然色ウルトラQ』から、選んだ一話を加えた計4話構成で上映。