三浦友和 ミウラトモカズ

  • 出身地:山梨県塩山市(現・甲州市)
  • 生年月日:1952/01/28

略歴 / Brief history

山梨県塩山市(現・甲州市)の生まれ。本名・三浦稔。小学生の時に一家で東京都立川市へ転居。歌手の忌野清志郎と同級生だった都立日野高校を卒業後、日本電子工学院へ入学し、アルバイトをしながら音楽活動していたところをスカウトされて、1972年のTBS『シークレット部隊』で俳優デビューする。以後も同局『燃える兄弟』72、『刑事くん』73、フジテレビ『剣道一本』72、NET(現・テレビ朝日)『じゃがいも』73などのドラマに出演し、その端正な二枚目ぶりで女子中高生の注目を集めた。74年、アイドル歌手・山口百恵の第1回主演映画「伊豆の踊子」の相手役に応募。合格者は現役東大生だったが、監督の西河克己が芝居のできる既成のタレントを熱望したため、落選した友和が抜擢される。以降、“百恵×友和”のコンビ映画は東宝のドル箱シリーズになり、80年の市川崑監督「古都」まで12本が製作された。東宝は友和を青春スターとして売り出し、百恵との共演作以外でも「阿寒に果つ」「青い山脈」「陽のあたる坂道」75で主役に起用。百恵とはTBS『赤い疑惑』75、『赤い衝撃』76などのドラマでも共演し、私生活でも80年11月に結婚。百恵の芸能界引退によって、ゴールデンコンビの作品は終了する。81年、村川透監督「獣たちの熱い眠り」でダーティなヒーローを演じ、テレビ朝日『西部警察PARTⅡ』でもアクションを披露するなど、青春スターからの脱皮を図る。映画は以後、舛田利雄監督「大日本帝国」82、森谷司郎監督「海峡」82の助演、小松左京原作・総監督のSF映画「さよならジュピター」84に主演と、大作が続いたが、決定的なイメージチェンジには繋がらなかった。85年、相米慎二監督「台風クラブ」で酔っぱらいの無責任な中学生教師を演じ、それまでにない人間臭さを感じさせ好演。この演技で報知映画賞、ヨコハマ映画祭の助演男優賞を受賞する。もともと整った見た目が魅力の核心だったが、この頃から普通人の頼りなさやだらしなさを覗かせた独特の持ち味が活かされていくようになる。91年には澤田幸弘監督「仔鹿物語」、戸井十月監督「風の国」、竹中直人監督「無能の人」、舛田利雄監督「江戸城大乱」に出演し、毎日映画コンクール男優助演賞を受賞した。99年には諏訪敦彦監督「M/OTHER」で、監督や共演者とディスカッションしながらダイアローグを考えていくという実験的な撮影現場を経験。彼が演じる主人公と恋人、別れた妻子が同居する奇妙な擬似家族関係を描いた同作はカンヌ国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞し、自身も報知映画賞主演男優賞、さらには毎日映画コンクールの脚本賞にも監督らとともに輝いている。山崎貴監督「ALWAYS/三丁目の夕日」05・07では空襲で妻子を失った小児科医に扮して、初老の男の喪失感を見事に表現。2007年、山下敦弘監督「松ヶ根乱射事件」では主人公の双子のぐうたらな父親、三木聡監督「転々」ではオダギリジョー演じる主人公の青年と東京を散歩する不思議な借金取りを演じ、キネマ旬報賞とブルーリボン賞の助演男優賞を受賞する。さらに、山崎豊子原作、若松節朗監督の「沈まぬ太陽」09では渡辺謙演じる主人公のライバル・行天四郎を熱演して、キネマ旬報賞、日本アカデミー賞、日刊スポーツ映画大賞の助演男優賞を獲得した。テレビドラマはほかに、NHK『独眼竜政宗』87、『レガッタ・国際金融戦争』99、『純情きらり』『ウォーカーズ・迷子の大人たち』06、TBS『オトコの居場所』94、『ブラックジャックによろしく』03、『世界の中心で、愛をさけぶ』04、『流星の絆』08、『新参者』10、フジテレビ『妊娠ですよ』94・95、『薔薇のない花屋』08、『東京DOGS』09、テレビ朝日『はみだし弁護士・巽志郎』96~11、『小児病棟・命の季節』96、『氷点2001』01、『弟』04、テレビ東京『それぞれの断崖』00など多数。人生の年輪を感じさせる演技派俳優として映画、テレビドラマに欠かせない存在である。長男・祐太朗はロックバンド“Peaky SALT”のヴォーカルをつとめデビュー。次男・貴大も俳優として活躍している。

三浦友和の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • PERFECT DAYS

    制作年: 2023
    「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」で知られ、小津安二郎を敬愛してやまないドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダースが、役所広司を主演に東京で撮影した日本映画。公衆トイレの清掃員、平山の静かな日常を追いながら、人生の豊かさ、切なさ、愛おしさをエモーショナルに描き出す。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にてワールドプレミアされ、役所広司が男優賞を受賞。脚本はヴィム・ヴェンダースと、プロデュースも兼ねる高崎卓馬。共演は同僚のタカシに柄本時生、アヤにアオイヤマダのほか、新人の中野有紗、田中泯、麻生祐未、石川さゆり、三浦友和などのベテラン勢が集結。2023年・第36回東京国際映画祭オープニング作品にして、同年10月24日~30日に都内特別先行上映。映画企画の発端となった「THE TOKYO TOILET」プロジェクトと渋谷区内17カ所の公共トイレの意匠が世界的に注目された。
  • 親のお金は誰のもの 法定相続人

    制作年: 2022
    三重県伊勢志摩を舞台に相続に向き合う家族を描いた、「天外者」の田中光敏監督によるハートフルコメディ。母が亡くなり、認知症の疑いのある父の成年後見人として弁護士の龍之介が現れ、大亀家が揺らぐ中、時価6憶円という伝説の真珠を巡り争奪戦が起きる。真珠の養殖業を営む父と確執のある三女・大亀遥海を比嘉愛未が、遥海の父の成年後見人として大亀家に関わる弁護士・城島龍之介を三浦翔平が演じるほか、三浦友和、石野真子らが出演。2000年にスタートした成年後見制度の問題に触れながら、家族の物語を紡ぐ。
    100
  • ケイコ 目を澄ませて

    制作年: 2022
    聴覚障害と向き合いながら実際にプロボクサーとしてリングに立った小笠原恵子さんをモデルに、彼女の生き方に着想を得て生まれたケイコを、「きみの鳥はうたえる」の三宅唱監督が16mmフィルムに焼き付けた青春物語。ゴングの音もセコンドの指示もレフリーの声も聞こえないなか、じっと<目を澄ませて>闘うケイコを、才能にあふれた主人公としてではなく、不安や迷い、喜びや恐怖など様々な感情の間で揺れ動き、それでも拳を突き出す一人の女性として描く。ケイコを演じた岸井ゆきのは、厳しいトレーニングを重ねて撮影に臨み、新境地を切り開いた。ケイコの実直さを認めて見守るジムの会長に三浦友和。その他、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中島ひろ子、仙道敦子など実力派俳優が脇を固める。第72回ベルリン国際映画祭正式出品作品。2022年第96回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位、主演女優賞(岸井ゆきの)、助演男優賞(三浦友和)、読者選出日本映画監督賞(三宅唱)受賞。
  • 線は、僕を描く

    制作年: 2022
    2019年TBS「王様のブランチ」BOOK大賞を受賞した砥上裕將の青春芸術小説を、「ちはやふる」シリーズの小泉徳宏監督ら製作チームが映画化。深い悲しみの中にあった霜介は、水墨画と出会い、巨匠・篠田湖山の元で学ぶうちに、彼の止まっていた時間が動き出す。日本を代表する水墨画家・小林東雲が水墨画監修を担当。水墨画に魅了される大学生・青山霜介を「アキラとあきら」の横浜流星が、霜介を弟子として迎え入れる篠田湖山を「葛城事件」の三浦友和が演じる他、「護られなかった者たちへ」の清原果耶、「天空の蜂」の江口洋介ら豪華出演陣が揃う。
  • グッバイ・クルエル・ワールド

    制作年: 2022
    「星の子」の大森立嗣監督が「死刑にいたる病」の脚本家・高田亮と組み、西島秀俊ら豪華俳優陣を迎えて描く犯罪アクション。一夜限りの強盗団はラブホテルで秘密裏に行われるヤクザの資金洗浄現場を狙い、大金強奪に成功。しかし警察やヤクザに追われ……。元ヤクザ組長の安西はじめ全員互いに素性を知らない強盗団を西島秀俊、斎藤工、玉城ティナ、宮川大輔、三浦友和が、ラブホテルの従業員を宮沢氷魚が、刑事を大森南朋が演じ、波乱の犯罪劇を繰り広げる。
  • 唐人街探偵 東京MISSION

    制作年: 2021
    中国の大ヒットシリーズ第3弾。中国の探偵コンビ、タン・レンとチン・フォンは、日本の探偵・野田に協力を依頼され、東京に飛ぶ。マフィアの会長の密室殺人事件で犯人として起訴されたヤクザの組長の冤罪のため、タイの探偵ジャーも加わり、事件解決に挑む。出演は、「新喜劇王」のワン・バオチャン、「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」のリウ・ハオラン、「浅田家!」の妻夫木聡、「モンスターハンター」のトニー・ジャー、「すばらしき世界」の長澤まさみ。監督・脚本は、シリーズ全作を手掛けるチェン・スーチェン。