阿部寛 アベヒロシ

  • 出身地:神奈川県横浜市
  • 生年月日:1964/06/22

略歴 / Brief history

神奈川県横浜市の生まれ。中央大学理工学部電気工学科在学中の1985年、集英社主催の“第3回non・noボーイフレンド大賞”でグランプリを獲得。モデルとして活動を始め、雑誌『MEN'S NON-NO』では創刊以来3年7カ月に渡って43回連続で表紙を飾る。当時沸き上がった二枚目モデルブームの代表的な存在として、加藤雅也、風間トオルらとともに人気を博し、大学卒業後の87年、佐藤雅道監督「はいからさんが通る」でヒロイン・南野陽子の相手役となる大正時代の陸軍少尉・伊集院忍役を演じ、映画初出演を飾る。以降もモデル業と並行しながら、日本テレビ『花嵐の森ふかく』88、TBS『俺たちの時代』89などのドラマに出演し、90年のテレビ東京『ぼくが医者をやめた理由』でドラマ初主演。彫りの深い抜群のルックスに加え、190cm近い長身の日本人離れした二枚目スターとして注目されるが、それが逆に災いしたかその後は役に恵まれず、徐々に芸能界の表舞台から消えていきかけた。不遇の時代を過ごしていた93年、つかこうへい原作、工藤栄一監督の「リングリングリング・涙のチャンピオンベルト」に助演。そこでのつかとの出会いをきっかけに、つか作・演出の舞台『熱海殺人事件・モンテカルロイリュージョン』に出演するチャンスをつかみ、ナルシストで同性愛者の木村伝兵衛部長刑事を怪演したことで、俳優人生の再スタートが切られた。銃の魅力に取り憑かれ狂気の殺人者へ変貌していく平凡なサラリーマン役で主演した渡辺武監督「凶銃ルガーP08」94、やくざの組長を慕う金持ちのボンボン役で役所広司と共演した細野辰興監督「大阪極道戦争・しのいだれ」94などクセのある役どころに挑んで、それまでの二枚目好青年のイメージを払拭。低予算映画、当時隆盛だったOV、悪役・汚れ役にも進んでチャレンジし、個性的な性格俳優としてのポジションを確立していく。以後も、松浦雅子監督「人でなしの恋」95、坂上忍監督「30/thirty」97、斎藤久志監督「フレンチドレッシング」98などの映画や、NHK大河ドラマ『八代将軍吉宗』95への出演を経て、90年代後半からは活動の中心がテレビの連続ドラマへとシフトしていく。96年のNHK時代劇『天晴れ夜十郎』では6年ぶりの連続ドラマ主演。さらに、フジテレビ『成田離婚』97、『お水の花道・女30歳ガケップチ』99、日本テレビ『愛、ときどき嘘』08、テレビ朝日『チェンジ!』98、TBS『週末婚』99など多数のドラマで名脇役ぶりを発揮する。ことに、2000年1月のフジテレビ『イマジン』から03年4月のTBS『笑顔の法則』までは14クール、3年半に渡って連ドラのレギュラー出演を続けるという大車輪の活躍を見せた。その連続出演の間に、長い当たり役となる天才物理学者・上田次郎に扮したテレビ朝日『TRICK』00~03や、木村拓哉主演でのちに映画化もされるフジテレビ『HERO』01が含まれており、さらに、変わり者の国選弁護人・有働和明を演じた日本テレビ『最後の弁護人』03以降は連ドラの役どころが主役に移行して、フジテレビ『アットホーム・ダッド』04、『結婚できない男』06、『白い春』09、TBS『ドラゴン桜』05、『新参者』10などに次々主演する。こうしたテレビドラマの華々しい活躍に加え、舞台でもその個性を発揮し続けているが、映画でも00年代以降は、名バイプレイヤーから主演スターへと昇り詰めていく。藤田明二監督「アジアンタムブルー」06、堤幸彦監督「大帝の剣」「自虐の詩」07、中村義洋監督「チーム・バチスタの栄光」08、「ジェネラル・ルージュの凱旋」09、是枝裕和監督「歩いても歩いても」08、中西健二監督「青い鳥」08、緒方明監督「死刑台のエレベーター」10などで、シリアスからコメディ、平凡な市井の人から強烈な個性の変人まで、幅広い役どころを絶妙の芝居勘で演じ分け、香港映画「東京攻略」01、タイ映画「チョコレート・ファイター」08などでは、古武道で鍛えた身体能力の高さを活かしてアクションもこなした。常に新しい役を求め、一箇所に留まることなくあらゆる芝居に挑戦し続ける得難い個性は、『新参者』の劇場版「麒麟の翼」、古代ローマ人の役を演じる武内英樹監督「テルマエロマエ」、詐欺師グループのリーダー役の伊藤匡史監督「カラスの親指」と、12年公開予定の3本の主演映画がすでに待機中である。

阿部寛の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 異動辞令は音楽隊!

    制作年: 2022
    「ミッドナイトスワン」の内田英治が、YouTubeで偶然目にした警察音楽隊のフラッシュモブ演奏の映像から着想を得たオリジナル脚本&監督作。犯人検挙には手段を選ばない警部補・成瀬司が、捜査の最前線から広報課内の<音楽隊>へ異動させられて、人生を見つめなおす涙と笑いのエンターテインメント。主人公の犯罪捜査一筋30年の鬼刑事・成瀬司を演じるのは阿部寛。同僚のトランペット奏者・来島春子役に清野菜名、捜査一課の部下・坂本祥太役に磯村勇斗、サックス奏者・北村裕司役に高杉真宙、警察音楽隊を目の敵にする県警本部長・五十嵐和夫役に光石研、成瀬の母・幸子役に倍賞美津子。主題歌は、Official髭男dismが書き下ろした「Choral A」。メンバーの楢崎誠がかつて島根県警察音楽隊でサックスを演奏していた縁もあり、作詞・作曲を担当した。
  • とんび

    制作年: 2022
    重松清のベストセラー小説を、「護られなかった者たちへ」の瀬々敬久監督と阿部寛のコンビで映画化した人間ドラマ。親の愛を知らずに育ったヤスは愛妻と息子アキラに囲まれ幸せに暮らしていたが、妻が事故死。周囲の温かい手を借りながらアキラを育てていく。不器用なヤスを阿部寛が、ヤスの息子アキラを「東京リベンジャーズ」の北村匠海が演じ、昭和の瀬戸内海の町を舞台に、親子の絆を紡ぐ。
  • 護られなかった者たちへ

    制作年: 2021
    中山七里の新聞連載小説を瀬々敬久監督が映画化した社会派ミステリー。東日本大震災から10年目の仙台で、手足を縛られて餓死するという連続殺人事件が発生。被害者はみな人格者だったとの評判で犯人の動機すらつかめない。刑事の苫篠はある男に目を付ける。連続殺人事件の捜査線上に浮かび上がる主人公・利根を演じるのは、「8年越しの花嫁 奇跡の実話」以来の瀬々組となる佐藤健。過去に起こした事件で服役し、出所したばかりだが、なにかを思い詰めてている。そんな利根を追い詰める刑事・笘篠を演じるのは佐藤健と10年ぶりのタッグを組む阿部寛。緻密な捜査を重ねながらも決定的な証拠がつかめないまま、第三の事件の予感に焦りを感じる。なぜ、被害者は無残な殺され方をされねばならなかったのか。利根の過去には何があったのか。さまざまな想いが交錯する中、やがて事件の裏に隠された、切なくも衝撃の真実が明らかになっていく……。
  • 夕霧花園

    制作年: 2019
    台湾恋愛映画の名手トム・リン監督が、マレーシアを舞台に撮り上げた歴史ラブストーリー。1980年代。女性裁判官のユンリンは、かつて愛した男で謎多き庭師・中村がとある財宝にまつわるスパイとして指弾されていることを知り、彼の潔白を証明しようと決意する。出演は「インフェルノ 大火災脱出」のリー・シンジエ、「祈りの幕が下りる時」の阿部寛、「妻の愛、娘の時」のシルヴィア・チャン。原作はマレーシアの作家タン・トゥアンエンの小説でブッカー賞ノミネートの「The Garden of Evening Mists」。第15回(2020年)大阪アジアン映画祭オープニング作品。
  • HOKUSAI

    制作年: 2020
    『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』などで知られる江戸時代の天才絵師・葛飾北斎の生涯を描いた時代劇。腕は確かだが、傍若無人な振る舞いが災いし、貧しい生活を送る若き日の北斎は、歌麿、写楽を見出した版元・蔦屋重三郎と出会い、才能を開花させるが……。出演は「泣くな赤鬼」の柳楽優弥、「記憶屋 あなたを忘れない」の田中泯、「のみとり侍」の阿部寛。監督は『相棒』シリーズなどを手掛ける橋本一。
  • のみとり侍

    制作年: 2018
    歴史小説家・小松重男の短編集『蚤とり侍』を「後妻業の女」の鶴橋康夫が映画化。越後長岡藩藩士・小林寛之進は藩主の機嫌を損ね、床で女性に愛を届ける裏稼業“猫ののみとり”にされてしまう。そこで亡き妻そっくりな女性・おみねが最初の相手となるが……。出演は、「祈りの幕が下りる時」の阿部寛、「幼な子われらに生まれ」の寺島しのぶ、「3月のライオン」前後編の豊川悦司、「昼顔」の斎藤工、「本能寺ホテル」の風間杜夫、「後妻業の女」の大竹しのぶ、「散歩する侵略者」の前田敦子。
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