略歴 / Brief history
生家は呉服問屋で、兄一人、姉二人がいたが、いまはいずれも死去。36年4月、松竹少女歌劇学校に四期生として入り37年3月卒業、御舟京子の芸名で松竹少女歌劇団(現・SKD)に入る。同期に小月冴子、並木路子、矢口陽子(黒沢明監督夫人)がいた。39年、東宝映画に迎えられ、高峰秀子などが主演した石田民三監督「花つみ日記」39で映画デビュー。「エノケン誉れの土俵入」「エノケンのワンワン大将」などに榎本健一の相手役をつとめたほか、清水金一の「電撃息子」40や渡辺邦男監督の「新編坊ちゃん」41などに助演する。41年4月、慶応義塾大学の学生だった加藤道夫、芥川比呂志、鳴海四郎らが結成した新演劇研究会に加わり、ポール・グリーン作『ろくでなし』のヒロインと加藤道夫・作、演出『十一月の夜』で新劇の初舞台を踏む。42年7月の第二回発表会のモリエール作『亭主学校』にも出演、このあと解散になるが、戦後、麦の会として再建、49年1月に文学座に合流。同年『なよたけ』46を発表して劇作家として立った加藤道夫と結婚するとともに、本名の加藤治子を芸名に、『なよたけ』のヒロインのような純情可憐な美少女の新劇女優として舞台を彩り、52年10月のサルトル作『恭々しき娼婦』を演じきるまでに成長、これで岸田国士賞を受賞する。ついで森本薫・作『退屈な時間』、アンドル・ルッサン作の喜劇『あかんぼ頌』53でも好演、大阪府民劇場賞を受けたが53年12月22日、加藤道夫と死別する。以後、矢代静一・作『雅歌』54、ピランデッロ作『作者を探す六人の登場人物』(55年度新劇新人演技賞)、内村直也・作のモノ・ドラマ『お世辞』、八木柊一郎・作『三人の盗賊』55、ジロドゥ作『アポロ出陣す』57、三島由紀夫・作『熱帯樹』60(郁子の役)などや、吉田史子プロデュース公演『オセロー』(関西ではデズデモーナの役)に活躍。58年に再婚した高橋昌也や芥川比呂志らと福田恆存を盟主に63年1月、現代演劇協会付属劇団雲を創立、シェイクスピア作『真夏の夜の夢』『リチャード三世』『リア王』、ピランデッロ作『御意にまかす』『ヘンリー四世』、サルトル作『トロイアの女たち』などに出演する。映画は53年に大映が文学座と提携してつくった佐分利信監督「心に花の咲く日まで」に助演したのをきっかけに東京映画の「おしどりの間」56、「暗夜行路」59などに時折り脇役で出演したが64年1月開始のTBS『七人の孫』に母親役で森繁久弥と共演、これが好評で映画にも再々呼ばれ、日活の「風と樹と空と」64では集団就職でお手伝いさんになる吉永小百合の住み込み先の夫人、松竹の「春日和」67で岩下志麻、日活の「私が棄てた女」68で浅丘ルリ子の母親役を演じ、上品なお色気を持った中年女の役に好印象を残し、お色気を買われて東映の「尼寺博徒」71では、なまめかしい庵主を演じた。東宝の森谷司郎監督「初めての愛」72ではヒロイン島田陽子の叔母で、兄に愛されるあまり恋愛も許されなかったという過去のかげりをつねに漂わせた女を演じ、魅力的だった。75年に雲を退団、高橋昌也とも離婚する。映画は続いて松竹の「季節風」77で野口五郎の母親、ホリ企画の「泥だらけの純情」77で山口百恵の乳母、百恵と三浦友和共演の「霧の旗」77では三国連太郎の弁護士の夫人を演じた。以後、映画出演はないが、この前後にかけて、TBSの『大岡越前』74、『寺内貫太郎一家』74・75、『さくらの唄』76、『冬の運動会』『せい子宙太郎』77、『人はそれをスキャンダルという』『家族熱』78、『突然の明日』80、テレビ朝日の『祭が終った時』79、NHK『阿修羅のごとく』79・80とテレビで活躍、ことに母親役には定評がある。舞台の近作は信子の役で出た西武劇場『熱帯樹』80。
映画専門家レビュー
今日は映画何の日?
NEW今日誕生日の映画人 3/5
- サラ・ジェシカ・パーカー(1965)
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ローマ発、しあわせ行き
『SEX AND THE CITY』のサラ・ジェシカ・パーカーと「これが私の人生設計」のラウル・ボヴァが共演するロマンティック・コメディ。新宿シネマカリテの特集企画『カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2016』にて上映。 -
ケイト・レディが完璧(パーフェクト)な理由(ワケ)
ワーキングマザーの苦悩をコミカルに描いたアリソン・ピアソン原作の小説『ケイト・レディは負け犬じゃない』を、「プラダを着た悪魔」のアライン・ブロッシュ・マッケンナの脚本、「Emma エマ」のダグラス・マクグラスの監督で映画化。出演は、ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』のサラ・ジェシカ・パーカー。 - 松山ケンイチ(1985)
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BLUE/ブルー
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ブレイブ 群青戦記
笠原真樹によるコミック『群青戦記グンジョーセンキ』を「亜人」の本広克行監督が実写化。スポーツ名門校の弓道部に所属する西野蒼は、自分に自信が持てず落ち込む毎日。そんなある日、校庭に一本の雷が落ち、学校の外の風景は見渡す限りの野原となってしまう。出演は「十二人の死にたい子どもたち」の新田真剣佑、「海辺の映画館 キネマの玉手箱」の山崎紘菜。
NEW今日命日の映画人 3/5
- ジョン・ベルーシ(1982)
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Oh!ベルーシ 絶体絶命
シカゴの辣腕記者と、ロッキー山脈に住むマスコミ嫌いの鳥類学者の恋を描くロマンチック・コメディ。製作はボブ・ラーソン、製作総指揮はスティーブン・スピルバーグと、「ブルース・ブラザース」のバーリン・ブリルスタインが担当。「歌え! ロレッタ 愛のために」のマイケル・アブテッドが監督。脚本はローレンス・カスダン、撮影はジョン・ベイリー、音楽はマイケル・スモールが各々担当している。出演はジョン・ベルーシ、ブレア・ブラウン、アレン・ゴーウィッツ、ライアム・ラッセルなど。 -
ネイバーズ(1982)
静かな生活が,隣人夫婦のために破壊されるという喜劇。製作はリチャード・D・ザナック、デイヴィッド・ブラウン、製作指揮はアーヴィング・ポール・レーザー、バーニー・ブリルスタイン、監督は「ふたりでスローダンスを」のジョン・G・アヴィルドセン。トーマス・バーガーの『危険な隣人』(早川書房刊)をラリー・ゲルバートが脚色。撮影はジェラルド・ハーシュフェルド、音楽はビル・コンティが各々担当。出演はジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、キャスリン・ウォーカー、キャシー・モリアーティ、ローレン=マリー・テイラーなど。