死霊館のシスター 呪いの秘密の映画専門家レビュー一覧

死霊館のシスター 呪いの秘密

大ヒット・ホラー「死霊館」シリーズの前日譚「死霊館のシスター」の続編。1956年、フランスで神父が惨殺され、強力な悪が蔓延し始める。特殊能力を持つシスター・アイリーンは教会の要請を受けて事件の調査を開始。やがて悪の元凶“シスター・ヴァラク”と対峙する。監督は「死霊館 悪魔のせいなら、無罪。」のマイケル・チャベス。シスター・アイリーンを、前作に続きタイッサ・ファーミガが演じる。
  • 翻訳者、映画批評

    篠儀直子

    特殊能力を持つシスターが、神を信じない米国出身の黒人シスターをバディにして、悪魔の居場所と目的を探る前半はミステリ映画のような面白さ。中盤からは魅力的な女たちと少女が力を合わせ、勇敢に悪魔と闘う。人物設定は観てればわかるので前作を知らなくても大丈夫。完全にアクション映画と化す、やり過ぎ気味のクライマックスも面白いが、この映画はファーストショットをはじめとして俄然気合の入っている画面が多く、とりわけ、夜の雑誌スタンド前のシーンが異様に素晴らしい。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授

    菅付雅信

    前作「死霊館のシスター」の続篇で、仏女子寄宿学校を舞台にした善と悪のシスターの対決を描く。ほとんどが不気味な寄宿学校での夜のシーンとなり、何が起きなくても怖い設定の中、ジェットコースター的に恐ろしいことが次々と起きる。エクソシスト系ホラー映画ジャンルを徹底的にディープラーニングさせて生成AIで作ったかのようなマーケティング的/優等生的ホラー。つまり、そつがなく、映像お化け屋敷としての完成度は高いが、作家主義的な美学やエモーションがない。

  • 俳優、映画監督、プロデューサー

    杉野希妃

    1950年代のフランスで繰り広げられる、シスター・アイリーンの悪魔退治。アイリーンとデブラ、女性二人の共闘には勇気づけられるし、安易にラブストーリーに落とし込まず、モーリスとはプラトニックな友情で結びついているのにも好感。ステンドグラスの羊の目が聖ルチアの目を探し当てたり、その羊が飛び出して暴走したり、ビジュアルで圧倒しようという気迫は存分に感じられるものの、モチーフが多すぎる上にそれらが有機的につながっておらず、もやもやが募ってしまった。

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