あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。の映画専門家レビュー一覧

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

汐見夏衛の同名ベストセラー小説を映画化。母親と喧嘩して近所の防空壕跡に家出した高校生の百合。目覚めると、そこは戦時中の日本だった。その世界で日々を過ごすうち、百合は助けてくれた青年・彰に惹かれていく。だが彰は、出撃を控えた特攻隊員だった。出演は「かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~」の福原遥、「死刑にいたる病」の水上恒司。
  • ライター、編集

    岡本敦史

    落雷一発で現代から終戦間際にタイムスリップした女子高生が、特攻隊員と恋に落ちるというストーリーはいいとして(よくないか)、主人公がやけに物分かりよく戦中生活に順応するので、そのSF設定必要?と思ってしまう。6月なのに猛暑?とか、町のスケール感が全然分からんとか、投げやりな作りが目立ち、アイドルグループみたいな特攻青年たちの食堂コントもこっぱずかしい。戦中日本人のメンタリティ描写も「ゴジラ-1.0」薄さがマシに思えるほどだが、主演の福原遥はマジメに健闘。

  • 映画評論家

    北川れい子

    時空を超えた愛ですって? 聞けば本作の原作は、泣かせ本としてベストセラーになったらしいが、ホント、泣かせるのって簡単らしいわ。いや、観ているこちらは、あまりにも雑で無責任、かつ薄っぺらで鈍感な設定のラブストーリーに、泣くどころか、途中で何度も逃げ出したくなったのだが。不満分子の女子高生がなぜか戦争末期にタイムスリップ、そこで出会った特攻隊員と互いに惹かれあいましたとさ。特攻隊員の安易な描き方もさることながら、その甘っちょろい展開には言葉もない。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    女子高生が戦中にタイムスリップして、特攻の母がモデルとおぼしき食堂で働きながら特攻隊員と恋に落ちる。しかし、足を露出した制服でうろついても誰も訝しく思わず、よくスパイ容疑をかけられなかったもの。空襲シーンもご都合主義の恋愛描写に絡み取られ、食料を失った喪失感も描かれず。山田太一の『終りに見た街』のように、現代の若者が戦時教育に染まる恐怖を描くわけでもなく、泣きながら特攻を見送って神格化。言わば「俺は、君のためにこそ死にに行く」のジュブナイル版。

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