夜が明けたら、いちばんに君に会いにいくの映画専門家レビュー一覧

夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく

グローバルボーイズグループJO1の白岩瑠姫と「おとななじみ」の久間田琳加がW主演、第1回野いちご大賞を受賞した人気小説を映画化したラブストーリー。本心を隠して生きている優等生の茜は、自由奔放な同級生・青磁の絵やまっすぐな性格に惹かれていき……。監督は、「はらはらなのか」で商業映画デビュー、ギャラクシー賞『マイベストTV賞』グランプリを獲得したドラマ『美しい彼』などを手がけた酒井麻衣。自由奔放な性格で絵を描くことを何よりも愛する青磁を白岩瑠姫が、本当の自分と周囲からのイメージのギャップに悩む茜を久間田琳加が演じる。
  • 文筆家

    和泉萌香

    アンティーク調の家具やステンドグラスと、できすぎなくらいに可愛い主人公の部屋に始まり、白を溶かしたように優しく、カラフルな画がある種のお伽噺としての青春の舞台にぴったり。後半は「王子様」の過去や夢にフォーカスされ、ヒロイン自身の意思、これからの道が深掘りされないのが残念だったが(原作は未読)、流行りの病に関係なく、主人公と同様高校時代に手放せなかった方も多いであろうアイテム、マスクを大勢がいる学校という場所で無理に取ってしまわないのがいい。

  • フランス文学者

    谷昌親

    映画は、おもはゆいほど少女マンガ的に物語を彩り、マンガ史において少女マンガが果たしてきた役割がそうであったように、おそらく原作の小説よりも作中人物に心理的な深みをもたらしている。もちろんそれはモノローグなどでもたらされるものではない。街、空、校舎、級友たち、主人公である茜と青磁の周囲の世界を描くことで、ふたりにとっての世界を描いているからだ。他愛ない物語でありながら、校舎の屋上や廃園となった遊園地ともども、映画が色鮮やかに染め上げられる。

  • 映画評論家

    吉田広明

    冒頭でいきなりお前のことが嫌いだと言う男子、その台詞のインパクト演出に、彼の目や口のクロースアップ=モンタージュするのは映像に逃げているので、新鋭ならこういうのを使わずに印象に残らせる術を考えるべきだと思う。人物の造形も演技もキャラの域を超え出ていない。それは原作の底の浅さとキャストの力量故だが、それでも、彼らの名前の由来となった夕焼けや朝焼けの空の色を、屋上や廃遊園地という非日常空間で見せるロケセット撮影の美術は頑張っているのではないか。

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