岸辺露伴 ルーヴルへ行くの映画専門家レビュー一覧

岸辺露伴 ルーヴルへ行く

荒木飛呂彦の人気コミックを原作とする実写ドラマの劇場版。特殊能力を持つ漫画家・岸辺露伴は、青年時代に淡い思いを抱いた女性から、この世で最も黒い絵の噂を聞く。その後、その絵がルーヴル美術館に所蔵されていることを知った露伴は、フランスを訪れる。出演は、「スパイの妻 劇場版」の高橋一生、「シライサン」の飯豊まりえ、「LOVE LIFE」の木村文乃、Amazon Original映画『HOMESTAY(ホームステイ)』の長尾謙杜。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    原作にもドラマにも接してこなかったので物語の前提となるトリッキーな設定にチューニングを合わせるのにしばらく時間を要したが、最終的にはかなり楽しめた。美点と欠点がはっきりとしている作品で、美点は、高橋一生と飯豊まりえが演じる主要キャラ2人の「作家と編集者」や「男と女」の定型に収まらない洒脱な関係性と軽妙な台詞の掛け合い。それと、美術や音楽にちゃんとお金をかけていること。欠点は、アート作品「風」の小賢しいカメラの構図の多用と、散見される稚拙な編集。

  • 映画評論家

    北川れい子

    原作漫画もドラマも未見だったので大いに期待したのだが、まず目が行くのは露伴のナリフリ。特にあのヘアバンド。片耳だけの長いイヤリングもかなりギザ。ま、このあたりは好みの問題、とやかく言っても仕方がないが、露伴の特殊能力もさることながら、ルーヴル美術館まで巻き込んだ因縁話にはかなりぶっ飛ぶ。そういえば露伴は何度も、美術品のリアリティー、という言葉を口にするが、映画のリアリティーを超越した幻覚的ミステリとして、話のネタには格好の作品と言えるかも。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    なぜメインのジョジョ実写版が続かないのか。そういえば露伴の冒険はルーヴルもグッチも割と小さい話だった、ならばもっと漫画のように狭いフレームに入れる画面がよくなかったか。こんな時代劇だった?など思案しつつ観るが、ミステリアスなネタを追う展開がきびきびしていて飽きはしない。パリの街とルーヴル美術館でのロケ撮影も効いている。ルーヴルとヴェルサイユ宮殿でロケした2015年の水谷豊主演作「王妃の館」に非常に近い映画、企画として同じ方向性のものだと思った。

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