劇場版 センキョナンデスの映画専門家レビュー一覧

劇場版 センキョナンデス

ラッパーと芸人かが2021年衆院選、2022年参院選のなか、十数人の候補者に突撃取材を敢行したドキュメンタリー。ラッパーのダースレイダーと時事芸人・プチ鹿島は、香川や大阪等に赴き、候補者から本音を引き出す。そんな取材の真っ最中、安倍元首相銃撃事件が起こる。「なぜ君は総理大臣になれないのか」の大島新かがプロデューサーとして参加。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    リベラル系言論人総崩れの中、プチ鹿島氏の文章は読むに値する情報量とギリギリの中立性とプロの書き手ならではのレトリックを有していることを評価する立場なのだが、この作品はダメだ。取材対象が二つの選挙にまたがっているので流れもわかりにくく、建前としての中立性(劇中で特定の候補者に「応援してます」などと言っている)も投げ打っていて、単純な撮れ高不足も露呈している。ダースレイダー氏とプチ鹿島氏のファンムービーという価値以上のものが見出せなかった。

  • 映画評論家

    北川れい子

    ラッパーのダースレイダーのことも、時事芸人・プチ鹿島のことも、当然、彼らのYouTube番組のことも全く知らず、このドキュメンタリーで初めて二人の活動を目にしたのだが、意外とソフトで、意外と礼儀正しく、意外と毒がなく、結構、意外ずくめだった。ただ二人の押しがソフトな分、彼らが取材する参院選候補者の素顔か建前がそれなり見えてきて、そういう意味では突っ込みは甘くても、取材の意義は大。にしても四国新聞の姿勢には?然、失笑。でも、やっぱりときには猛毒を。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    昨年6月まで政治系ネットメディアで働いていて政治家の会見や演説を撮影し質問し記事を書いた。そこでの体験に似ていた映画は、レア・セドゥが活発な人気ニュースキャスターを演じる「フランス」(監督ブリュノ・デュモン)だが、本作も私の体感と一致する。政治や大メディアが(プチ鹿島氏が発するような)単純で当然な問いに答えないこと、暗殺は忌むべきことだがそれとは別に安倍晋三が良い政治家でなかったこと、を思い出す。安倍元首相暗殺事件当時の貴重な記録でもある。

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