オオカミ狩りの映画専門家レビュー一覧

オオカミ狩り

「共謀者」「メタモルフォーゼ/変身」などのキム・ホンソン監督による海上バイオレンス・サバイバル・アクション。フィリピンに逃亡した極悪非道な犯罪者たちと護送官の刑事を乗せ、韓国へ向かっていた貨物船フロンティア・タイタン号。その船内で暴動が発生、さらに“怪人”が目覚め、船上は地獄と化す。出演は「パイプライン」のソ・イングク、ドラマ『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』のチャン・ドンユン、「探偵なふたり」シリーズのソン・ドンイルのほか、パク・ホサン、チョン・ソミン、コ・チャンソクらが出演。第47回トロント国際映画祭ミッドナイトマッドネス部門に正式出品。韓国ではR18+で公開、容赦ない暴力描写とアクションが話題を呼び、興行収入ランキング初登場第1位を記録した。
  • 米文学・文化研究

    冨塚亮平

    劇的な転調の続く展開と、速さと激しさを限界まで強調した暴力演出は、溜めがほぼないためにサスペンス性には欠けるものの、遊園地のアトラクションのようなサプライズに満ちている。怪人の圧倒的な強さを生かしたゴア描写もパターンが豊富で飽きさせないし、ジャンル映画としての面白さを徹底して追求しようとする細部の工夫は随所に感じられる。ただ、あまりに要素を詰め込みすぎているようにも見える点は、観客が退屈することを過剰に恐れた結果にも思え、賛否が分かれるか。

  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

    降矢聡

    多数の凶悪犯と護送官の刑事を乗せた貨物船。極悪犯のなかにも刑事のなかにも、それぞれデキそうな顔をしている人物がいく人もおり、それぞれがキチンと見せ場を作りつつ、しかし意外にあっさり死んでしまったりと、見る側の期待に応えつつも意表をつく展開が良い。また中盤以降、第三陣営が出現すると、「ターミネーター」+「プレデター」+「エイリアン」のような展開になるのは大いに笑える。最終的には力技で押し切った感があるが、踏み込みとパンチは想像以上に重い。

  • 文筆業

    八幡橙

    予想を逐一裏切るアグレッシブに過ぎる姿勢や、常軌を逸した血糊の出血大サービスぶりはある種、痛快。海上の「コン・エアー」的滑り出しから、「バイオハザード」風恐怖を盛り込み、さらに「プレデター」、あるいはいっそ「ジュラシック・パーク」をも思わせる強敵との壮絶死闘へ。進行するほどに何でもアリになってゆく、この密室カオス! 最大の難点は、人間を誰一人描き切らない、描く気すら見えないところか。ここまで人物が軽視されては、何が起こっても終盤一切心動かず。

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