エッフェル塔 創造者の愛の映画専門家レビュー一覧

エッフェル塔 創造者の愛

パリのエッフェル塔誕生の裏に秘められた情熱と愛の物語。アメリカの自由の女神像制作に協力して名声を得た建築家のギュスターヴ・エッフェルは、1889年に開催されるパリ万博のシンボルモニュメント制作コンクールへの参加を大臣から要請されるが……。出演は「キャメラを止めるな!」のロマン・デュリス、「ナイル殺人事件」のエマ・マッキー。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    ヒロインの?剌さに心奪われる。いきなり走り出し川へ飛び込む。生意気で気が強くて頑固。男もまた曲がったことが嫌い。正義の人。仕事には妥協を許さない。若い頃引き裂かれた二人が再会する。彼女の一言で意地になってエッフェル塔を立てることを決めたり、なんだかんだと翻弄される男がかわいい。結婚してるから行けないと言ってたのに、結局行っちゃう彼女がいい。気持ちをぶつけ合うようなセックスもいい。ただ出会って好きになっただけなのに、うまくいかないもどかしさ。

  • 文筆家/俳優

    睡蓮みどり

    別れたあと何年も経ってお互いに同じ気持ちでいられることは奇跡だ。そうじゃなきゃ映画にならないわけだけれど、結ばれない恋物語と、簡単には進まないパリのシンボル・エッフェル塔建設についての舞台裏と、逆風だらけのはずなのに、始終穏やかな時間がこの映画には流れている。結婚するギュスターヴ・エッフェルの娘とパートナーの存在が希薄で少しもったいない。この映画を見終わって残るのは愛するアドリエンヌの笑顔だというのは、成功しているということだろうか。

  • 映画批評家、都立大助教

    須藤健太郎

    下世話な映画である。まさかとは思ったが、「エッフェル塔は屹立する男根である」という主張に終始している。300mの塔のデッサンを描くエッフェルは呼吸を乱し、アドリエンヌとの出会いを回想して垂直に聳える紙上の塔を見据える。この序盤のくだりの露骨さ。山場として設定されるのは第一展望台完成の場面。これがなぜか穴に棒を通す儀式と化している。何をかいわんやだ。監督のセンスのなさは救いがたい。「肉体の冠」(52)に目配せするならそれに見合った品格が必要だ。

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