バイオレント・ナイトの映画専門家レビュー一覧

バイオレント・ナイト

プレゼントを届けに来たサンタクロースが鉢合わせた強盗団と戦う羽目になるアクションコメディ。とある富豪の豪邸にやって来たサンタは、金庫に眠る3億ドルを強奪しようと潜入した武装集団と鉢合わせる。戦闘能力ゼロのサンタは無我夢中で反撃に出るが……。出演は、ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のデヴィッド・ハーバー、「ザ・メニュー」のジョン・レグイザモ。監督は、「セブン・シスターズ」のトミー・ウィルコラ。
  • 映画評論家

    上島春彦

    本作の発想が「ホーム・アローン」と「ダイ・ハード」なのは言及があり容易に分かるが、そこにジェームズ・バリー原作「ピーター・パン」(監督ハーバート・ブレノン)が加味されているのがニクい。ダーク・ファンタジー風味で、世にいわゆるバッド・サンタ映画は数あるが、ここまで容赦ないのは珍しい。それが質の悪いジョークでなしに良心のスジの通っているところを評価したい。これを見て「サンタさんてホントにいるんだ」と悪者連中が思ってくれたらこんな嬉しいことはない。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    クリスマスの雰囲気を醸す美術の作り込みの美しさを十分堪能させてから一変して、それらの装飾品が質の高いアクションとともに凶暴な武器と化すさまが視覚的に楽しい。「ゴーストバスターズ」(16)では、かつて女性俳優ばかりが担わされていた「セクシーなだけで無能」なポジションをクリス・ヘムズワースが務めていたが、本作のキャム・ギガンデット演じる男性キャラクターもそれと同枠であり、かつ守られる女性が一人も出てこないという点で、従来の性役割が反転されている。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    「バッドサンタ」や「ダイ・ハード」など本作がオマージュを捧げたであろう名作クリスマス映画の面白味をほんの少しでも咀嚼出来ていたならば本作も悪くはない映画になっていたであろう。だが結果として出来上がってきたのは、どうやって金を稼いだのかもよくわからない金持ち一家のために理由もなく暴力をふるうまったく魅力的でない怪力サンタクロースである。セットアップすらまともにない脚本と学芸会レベルの猿芝居にはサンタさんを信じている世代でもついていけないのではないか。

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