マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザインの映画専門家レビュー一覧

マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン

北欧を代表するデザインブランド「マリメッコ」のデザインを数多く手がけたデザイナー、マイヤ・イソラの足跡をたどるドキュメンタリー。社会が変貌する激動の時代に世界中を旅し、見聞きしたすべてをエネルギーに変えて新デザインを生み出すその創作の秘密に迫る。監督は、本作が2作目の長編ドキュメンタリーとなるレーナ・キルペライネン。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    マイヤ・イソラは相当変な人だったと思う。19歳で結婚して娘を産む。母親に預けて自分はデザインの学校に行く。ずっとあちこちを放浪し続け、娘とも離れて暮らし、ただひたすらデザインという仕事に没頭していく。仕事しかない人。孤独だったろうと思う。娘に宛てた手紙がいい。我が子と一緒にいられない苦しさを全然出さずに、淡々と旅の様子を伝える。いろんな男の人を好きになったり、急にわがままを言ったりめんどくさい人だけど、時代の先頭を走っている人の覚悟がある。

  • 文筆家/俳優

    睡蓮みどり

    あの大胆な色づかいやデザインのその向こうに秘密の花園を見つけたような気がした。深く静かであり同時に情熱的な側面をもつマイヤ・イソラの生み出してゆく世界に魅了される。若くして産んだ娘クリスティーナに語りかけられる言葉の数々、そしてクリスティーナ自身の言葉がちりばめられ、マイヤのデザインがアニメーションで動き出す。母娘の関係性が本当に素敵だ。アーティストとしての鋭い眼差しと、いまも愛されるデザインの原点に触れられる、とても心躍る貴重な一作。

  • 映画批評家、都立大助教

    須藤健太郎

    年上の男性と若くして結婚し19歳で娘を出産するも、すぐに離婚。娘を母親に預けて大学に進学、卒業後はデザイナーとして活躍し、世界中を自由に旅しては絵を描き、次々と恋をした。そんなマイヤ・イソラの奔放な人生は、と、ここまで書いて、自分がいかにジェンダーバイアスに囚われているかに気付いて愕然とする。「子供を預けて」「自由に旅し」「次々と恋をする」のが「奔放」?これが男性芸術家なら同じ形容を使うだろうか。むしろこの点はありふれた芸術家像のはずなのに。

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