コンペティション(2021)の映画専門家レビュー一覧

コンペティション(2021)

ペネロペ・クルスとアントニオ・バンデラス共演で映画界の内幕を風刺したコメディ。天才女性監督のローラ、世界的大スターのフェリックス、一流舞台俳優のイバンが集結し、ベストセラー小説の映画化に挑むが、全く気の合わない3人の行方は前途多難で……。共演は「笑う故郷」のオスカル・マルティネス。監督は「笑う故郷」のマリアノ・コーン&ガストン・ドゥプラット。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    クレーンで吊るされた巨大な岩の下でのセリフの読み合わせ。奔放な女性監督の暴言に振り回される俳優二人。男は顔に傷をつけられて激怒する。監督は男にまたがって体を密着させ傷の具合を見る。妙にセクシーなシーンでドキッとする。彼らはリハーサルで何本も仕掛けられたマイクの前で女性とキスをさせられる。監督が見本を見せるって言って猛然とキスを始める。アホだ。呆れる。俳優の嘘に翻弄され、本当だか嘘だかわからなくなる感じが面白い。意地が悪くて皮肉たっぷり。

  • 文筆家/俳優

    睡蓮みどり

    今までペネロペ・クルスが魅力的ではないと感じたことが一度もない。この役がはまり役かどうかはわからないが、いずれにしても大変魅了された。彼女の表情をじっとみているだけで映画としての楽しみが何倍にもなるのだ。本作はペネロペだけでなく、役者たちの演技合戦(二人の役者の話なので)と少しビターな大人のユーモアに引き込まれていく。存在感の闘いだと言ってもいいかもしれない。シリアスななかに思わず笑ってしまうシーンなどもあり、バランスも秀逸で完成度が高い。

  • 映画批評家、都立大助教

    須藤健太郎

    基本はペネロペ・クルスのお色直し映画で、彼女は登場するたびに髪型を、眼鏡を、装身具を、衣裳を替える。だが、彼女が演じるのは俳優(視線の対象)ではなく、監督(視線の主体)である、と。配役の効果にせよ、作劇の構図にせよ、画面のコンポジションにせよ、たしかにすべてが明確でありながら、どこか釈然としない部分が残るが、ひとそれを感性の違いと呼ぶ、ということか。なお、ペネロペの衣裳と同等に多いのが会話シーン、そのヴァリエーションを様々に試す映画でもある。

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