そして光ありきの映画専門家レビュー一覧
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映画監督/脚本家
いまおかしんじ
最初ドキュメンタリーかと思った。セネガルの森に住む部族の人たち。一人背の高い女の人のスタイルが良くて目を惹きつけられた。彼女は一人の男を巡って別の女の人と取っ組み合いの喧嘩を始める。のどかな日常。せこい男女の色恋沙汰。なんか笑ってしまう。小屋に入ってセックスを始めると周りにいた女たちが歌を歌い始める。小屋がギシギシ揺れ始める。女たちがホント強くて男たちはダメなやつらばっか。物哀しくてどこかユーモラス。クスクス笑いがずっと止まらなかった。
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文筆家/俳優
睡蓮みどり
これは……! 一体どんな演出をしているのだろう。セネガルのディオラ族が話す言葉はまったく私にはわからない(ほぼ字幕もない)のだが、それは少しも映画を楽しめない理由にはならない。むしろ、ひたすら映画に集中し没頭し、見知らぬ世界を体感するという点においても驚きの連続で身を乗り出すような気持ちで心奪われていった。木が倒れるだけでもう映画なのだ。イオセリアーニの映画をもっと見たい、という興奮に包まれながら映画の暗闇へと戻る。ぜひ、劇場へ!
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映画批評家、都立大助教
須藤健太郎
セネガル南部にあるディオラ族の集落。部族の生活と風習に基づきながら、イオセリアーニが創作を交えて綴る寓話的な一篇である。狩りや漁から魔術に雨乞い。ワニに乗って川を移動し、木を叩いて交信する。歌い、踊る。みんなで集まって日没を見る。女性主導の離婚と再婚、そして家出。世代交代と継承の儀式。森林伐採による楽園の終焉。補助的に中間字幕が使われるとはいえ、言語による翻訳を必要としていないのはやはり驚くべきことだ。映画の本源的な喜びに満ちた傑作。
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