長ぐつをはいたネコと9つの命の映画専門家レビュー一覧

長ぐつをはいたネコと9つの命

「シュレック」シリーズの人気キャラクター、“長ぐつをはいたネコ”プスを主役にした大ヒットアニメーションの続篇。数々の冒険を繰り返し、9つあった命が残りひとつになってしまったお尋ね者のプスは、どんな願いも叶えてくれる“願い星”を探す旅に出る。声の出演は「ペイン・アンド・グローリー」のアントニオ・バンデラス、「ハウス・オブ・グッチ」のサルマ・ハエック、「女王陛下のお気に入り」のオリヴィア・コールマン。日本語吹替版は「シン・ウルトラマン」の山本耕史、「ALIVEHOON アライブフーン」の土屋アンナ。監督は「クルードさんちのあたらしい冒険」のジョエル・クロフォード。
  • 映画評論家

    上島春彦

    CGアニメが嫌いな私には苦痛かと危惧したものの、そういう人向けに配慮されているようで随所に昔ながらの手描きタッチが溢れていて、嬉しい。三つ巴のバトルがレオーネ映画を踏襲しているのは、突然音楽がモリコーネ風になるのですぐに分かったが、これは同時に東映動画へのオマージュでもありそうだ。あの森は「ホルスの大冒険」の迷いの森でしょう。矢吹公郎の「長猫」だってスタッフは見ているだろうし。しかし★がもう一つなのは可愛さを狙った画が効果的じゃないから。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    吹き替え版で鑑賞。2011年に製作されたシリーズ前作も高いクオリティだったが、まったくダレずにハイテンションのまま駆け抜ける、負けず劣らずの力作。時折、絵の具で描いたような絵本を模したタッチに変調するのも功を奏している。家族、友情、恋人関係などの多様な在り方を余すことなく詰め込み、多くの観客へと開かれた物語になっている。ただし悪役に「共感能力がない」という台詞があり、共感性に基づいた排除の論理の危うささえ除けば完璧な家族映画として推せる一本。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    バンデラスとハエックのラテンなノリの掛け合いを期待していただけに、この「ただ読んでいるだけ」の吹き替えを聞かされるとレコーディングを68回も行ったという制作者の意図などまったく尊重されないのだなと資本の暴力を呪わずにはいられないわけだが、練り込まれているとはいえない脚本をさほど魅力がないキャラクターたちが躁的に演じるアニメを楽しむのはなかなか厳しい。手書きアニメーション風の戦闘シーンだけは空間を縦横無尽に使っていて涙が出るほど素晴らしかったが。

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