離ればなれになってもの映画専門家レビュー一覧

離ればなれになっても

イタリアで3週連続第1位の大ヒットを記録した、「幸せのちから」のガブリエレ・ムッチーノ監督作。1982年、ローマで恋に落ちた16歳のジェンマと同級生のパオロ。ベルリンの壁の崩壊、9.11テロなど激動の時代に翻弄されながら2人は出会いと別れを繰り返し……。出演は「シチリアーノ 裏切りの美学」のピエルフランチェスコ・ファビーノ、「盗まれたカラヴァッジョ」のミカエラ・ラマツォッティ、「家の鍵」のキム・ロッシ・スチュアート。
  • 映画評論家

    上島春彦

    名曲〈リアリティ〉がディスコでかかり、監督は「ラ・ブーム」世代か、と嬉しくなる。もっとも、アンチ「ラ・ブーム」かも。主人公女性の生臭さはハンパじゃないし。ソフィーちゃんとは違うね。20年製作らしいが、物語フィナーレは22年設定のようだ。コロナ禍のひとまずの収束を祈願しての処理かな。誰もマスクしてないもん。その時代の風俗や事件に詳しかったらさらに楽しめたのだろうが。人生は肯定されるべきものだとしても転向を丸ごと良しとするのはどうなんだろうか。正直疑問。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    前回星取りで取り上げた「泣いたり笑ったり」と同じく、この映画もまた、どこまでも陽気で明るいイタリア映画だが、物語が進んでいくにつれ登場人物たちのあまりの利己的な言動や行動に気疲れしてしまうのも否めない。ヒロインはガブリエレ・ムッチーノの過去作「パパが遺した物語」のヒロイン像とおそらく同型。40年間に社会で起きた事件の報道映像が要所要所で映し出され、彼ら彼女たちが繰り広げる恋愛模様が政治的な事柄と絡み合うかのような手つきの恋愛映画なのが良かった。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    幼なじみ四人の人生とイタリアの現代史を照らし合わせる。三人の男性が唯一のマドンナを取り合うという前時代的でマッチョな成長譚の設定はあえてではなく制作者の美意識的なレベルにおいて選択されたように思われ、個々の関係性の背後にある複雑な人生が丹念に描写されるわけでもないので、しばしそれぞれの感情の高ぶりに置いていかれる。また、ほとんどのカットが語りを推進するためのものなので、映画とは撮影された演劇にすぎないのか、いやはや、そんなわけがないと懊悩した。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事